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時短レシピを100個以上保存している。
Instagramで見つけては保存。YouTubeのショート動画で見つけては保存。クックパッドで「時短」と検索しては保存。もはや病気だ。で、実際に作ったのは何個か。数えてみた。3個。3個である。しかもそのうち1個は失敗した。何やってんだ私は。
「15分でできる!癒されごはん」(サニー早苗 著)清流出版
いやでも、気持ちはわかるでしょう。「これなら私にもできそう」と思うわけ。5分で完成、材料3つ、包丁いらず。魅力的すぎる。保存しない理由がない。でも作らない。なぜか。
……面倒だからだ。結局。
最近ね、ある本を読んでて「あ」と思った一文があった。「時短料理をすることが目的になっている」。これ。まさにこれ。
「料理は面倒。しんどい。だから時短にしよう」
この発想がそもそも間違ってた。時短レシピを100個集めても、「面倒でしんどい」という前提が変わってないから、根本のストレスは消えない。当たり前だ。なのに気づかなかった。3年くらい気づかなかった。
時短料理には2種類あるらしい。
1つめ、面倒だから時短にする。2つめ、シンプルに美味しくするため、結果的に時短になる。
同じ「15分で完成」でも、全然違う。1つめは逃げ。2つめは選択。私はずっと逃げてた。
そういえば、料理が一番しんどかった時期のこと、今でも覚えてる。毎日、主菜と副菜と汁物とサラダを作ろうとしてた。栄養バランス。彩り。Instagramに載せても恥ずかしくない見た目(載せないくせに)。全部やろうとして、全部中途半端で、毎晩ぐったりしてた。
「なんで私だけこんなに頑張ってるの?」
夫はソファでスマホいじってる。子どもはYouTube見てる。私だけキッチンで汗かいてる。不公平だ。腹が立つ。でも、言えない。言ったら「じゃあ作らなくていいよ」と返される。それはそれで困る。この袋小路、経験ある人いるでしょう。いるよね?(いてくれ)
話を戻す。
結局、解決策はシンプルだった。「もっとシンプルでいいよ」と自分に許可を出すこと。一汁一菜でいい。具沢山の味噌汁と、ご飯。以上。それで「ちゃんとした食事」だ。Instagramの豪華な料理写真、あれは「作品」。比べる意味がない。
時短の沼から抜け出すコツは、「早く終わらせたい」を捨てること。「シンプルに美味しく」に意識を変える。それだけ。不思議なことに、そう思った途端、キッチンに立つのが苦じゃなくなった。
……と、偉そうに書いてるけど、今日の夕飯は冷凍餃子を焼いただけだ。でもいい。シンプルに美味しかった。それでいい。たぶん。
※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムに編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
■ 採点結果
【基礎点】 39点/50点(テーマ、論理構造、完成度、訴求力)
【技術点】 20点/25点(文章技術、構成技術)
【内容点】 19点/25点(独創性、説得性)
■ 最終スコア 【78点/100点】
■ 評価ランク ★★★ 標準的な良書
【高評価ポイント】
実践的な3つのフレームワーク:「とらえ方」「準備」「食べ方」という明快な整理により、抽象的になりがちな「癒し」の概念を具体的な行動指針に落とし込んでいる。特に「食べ方」への言及は盲点を突いており、座って味わうという当たり前のことの重要性を再認識させる。
心理的ハードルの低さ:「一汁一菜でいい」「シンプルでいいと自分に許可を出す」というメッセージが一貫しており、料理に疲弊している読者の罪悪感を解消する効果がある。作り置きや乾物の活用など、具体的な時短手法も提示されている。
【課題・改善点】
ネーミングの胡散臭さ:「ヒーリングごはん」という名称がスピリチュアルな印象を与え、本来届くべき層に敬遠される可能性がある。内容は実践的なのに、入口で損をしている。
科学的裏付けの不足:「体も心も整う」「癒される」といった効果について、栄養学的・心理学的な根拠の提示が弱い。体感ベースの記述が中心で、懐疑的な読者を説得する材料に乏しい。
レシピの汎用性が未知数:「魔法の作り置き」など独自の手法が紹介されているが、一般的な家庭の食材・調味料でどこまで再現可能かが不透明。
■ 総評
本書は、時短レシピを大量に集めながら料理のストレスが減らないという現代人の矛盾に正面から切り込んだ実用書である。「面倒だから時短」と「シンプルだから結果的に時短」の違いを明示し、発想の転換を促す構成は説得力がある。一方、科学的根拠の提示も手薄なため、懐疑的な読者には響きにくい。料理に疲れた人、罪悪感を抱えている人には刺さる一冊だが、万人向けとは言いがたい。
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22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)