学校での集団暴行動画がSNSで拡散し行政が異例の速さで対応する時代

熊本県山都町立矢部中学校などで発生した生徒への集団暴行疑惑が、SNS上で拡散された結果、行政・警察の異例とも言える迅速な対応が注目されている。暴行の様子をとらえたとされる約90秒の動画が拡散され、被害生徒が全身打撲や顔面腫れで入院したこと、現場にいた多数の生徒が「死ね」と野次を飛ばしていたことなどが発覚し、学校と地域の対応が問われている。

  • 熊本県山都町立矢部中学校で、男子生徒が複数の生徒に蹴られるなどの暴行を受けたとされる動画がSNSで拡散された。動画は約90秒で、暴行の様子や周囲の生徒の野次が記録されている。
  • 被害生徒は全身打撲や顔面の腫れなどを負い、医師の診断により2日間入院した。母親は「生命の危険を感じた」と訴えている。
  • 現場には20〜30人ほどの生徒が居合わせ、「死ね」などと叫ぶ生徒もいたとされ、暴行行為だけでなく傍観・煽動の有無も問題視されている。
  • 被害生徒の母親は署名サイト「Change.org」で加害生徒だけでなく傍観した生徒や指導体制の責任を問う署名活動を開始し、急速に賛同が集まっている。
  • 学校側は教育委員会に報告し、山都町教育委員会は事実関係の調査に着手した。加害生徒への指導や再発防止策も検討されている。
  • 大分市教育委員会も8日、市内の市立中学校で、男子生徒が別の男子生徒を一方的に殴るなどしている動画がSNSで広がっていることを確認したと発表し、市教委は関係する生徒から事情を聞いており、大分県警も事実確認を進めている。

  • 栃木県の県立高校でも、生徒が別の生徒に暴行を加える様子がSNSに投稿され、県警は投稿を把握した翌日に加害生徒らから事情を聴き、報道機関の取材にも応じるなど、異例の早さで対応している。

  • 文部科学省はこの問題を受け、全国教育長会議でいじめ対応を議題に扱う方針を示しており、いじめ問題の深刻さと対応の遅れが再び浮き彫りになっている。

  • 重大事案であっても学校や教育委員会が「いじめ」の枠に矮小化し処理する傾向があると指摘され、改めて法制度と学校現場の乖離が議論されている。

  • ネット上では「学校に相談すると握りつぶされるのに、動画が拡散されると異例の早さで対応される」という指摘がされており、行政の隠ぺい体質が批判されている。

今回の事件は、暴行そのものに加え、多数の生徒が傍観・煽動した構造、情報拡散の速さ、保護者による署名活動、行政の対応といった複数の問題を含んでいる。教育委員会や文科省は調査と対策に乗り出したが、重大いじめ事案への認識や責任の所在、学校外も含む社会全体の安全網の在り方が改めて問われている。

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