金利生活は資本主義の原理だぞ

金利生活とは、自分が保有している資産を働かせて、運用収益を生ませて、それで生計を立てることである。典型的には、債券等の金利を生む資産を保有して、金利収入で生活することだから、金利生活といわれるのである。さて、金利は変動するから、金利が半分になれば、収入も半分になる。しかし、生活上の支出を半分にするわけにはいかない。これが金利生活に伴う難問である。

また、物価上昇に対する耐性の問題もある。実質金利が負にならない正常な状況のもとでは、物価の上昇は金利の上昇で吸収されるはずだから、物価が上昇して支出が増大しても、同時に金利収入も上昇するはずである。これが金利生活の基本的な想定である。しかし、この想定には、異常な物価上昇の可能性、物価上昇と金利上昇の時間差、元本の実質的価値の下落などを考慮したとき、甘さのあることを否定できないのである。

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そこで、金利生活の安定性を維持するために、投資の技法が生まれるのである。つまり、金利低下や物価上昇に備えて、運用収益の源泉を多様化する工夫がなされてくるわけだ。その結果、株式や不動産など、利息配当金収入に物価連動性があるだけでなく、資産価値にも物価連動性のある資産が投資対象に組み込まれてきて、更には、日本の円からみた購買力の維持増大のために、海外資産へも投資対象が拡大してきたのである。

そもそも、投資とは、元本を守りながら果実を稼得することであって、より根源的には、資本を稼働させて資本利潤を得るという資本主義の原理に立脚しているのである。故に、金利生活の原理は、投資の原理であり、更にいえば、経済の原理なのであって、保有資産の多寡にかかわらず、どの個人においても、実践可能なのである。

実際、遠い過去となった昭和においては、金利が十分に高かったので、例えば、退職金2000万円を6%の利回りで運用できれば、毎月10万円の所得になったわけで、公的年金の補完として十分に機能し得たことがわかる。逆に、退職金額の水準は、そうした利回り水準を想定して、設定されていたのであろう。

森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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