私は、今日の午前、奇妙な出来事に遭遇して足止めを食らった。
片側一車線の狭い道を、ゆっくりとした速度で車で走行していた。
後ろからパトカーが来たので、通行を妨げないように左端に寄って停車した。
ところが、パトカーから降りてきた警察官が私の車に近づいてきて、
「さっきの横断歩道で一時停止しませんでしたね。歩行者がいたので一時停止しないのは違反です」
と告げてきた。
私は、(仮に相手に非があっても)人身事故を起こすと厄介になることを職業柄知悉しているので、横断歩道近くで横断しようとしている人や自転車がいる時は必ず停車することにしている。
狭い道なら、横断歩道でないところを無理に渡ろうとする輩もいるので、尚更だ。
私には横断しようとしている人の存在が確認できなかったので、徐行するにとどめた。
車の運転経験の長い人なら理解できると思うが、(とりわけ)狭い道では「横断しようとしている人間」の気配を容易に感じることができる。
横断歩道がなくとも無理やり横切ろうとする輩もいるからだ。
まったくそのような気配を感じなかったので、
「録画を見せてください」
と言ったら、
「録画はありません。2人で見ていました」
との回答があり、またまた驚愕してしまった。
昨今ではほとんどの車にドライブレコーダーが着いており、それが犯罪解決に大いに役立っているのは誰もが知る常識だ。
「治安を守る警察官が乗車するパトカーにドライブレコーダーが搭載されていないなんて、あり得るのだろうか!?」
大切な約束があったので時間の浪費はしたくなかったが、このまま済ませたのでは「社会正義を実現」する義務のある弁護士として立つ瀬がない。
「切符を切らせるわけにはいきません。きちんとした手続きを求めます」
と言ったら、ゆうに20分くらい待たされた。
「大切な用事があるので、書類は後で送ってください」
と言ったが、それも拒否され、しばらく年長の警察官の雑談に付き合うことになった。
「警視庁では人員不足で大変だそうですね。残業も多いのですか?」
と訪ねたら、
「残業はまったくありません。有給もしっかり消化できます。今は働き方改革というのでしょうか、昔とは違いますよ」
と笑顔で教えてくれた。
『警察官2人が、何の危険性もない違反にこれだけの時間を割いているのに、本当に警視庁は人員不足なのだろうか?』
私は大いに疑問を抱いたが、つまらない言い争いは時間の無駄になるので口には出さなかった。
読者の中にも、警備でまったく危険性のない交通違反で貴重な時間を奪われた人が少なくないと推測される。
交通取締りに充てている警察官を粗暴犯や知能犯に担当替えすれば、警視庁の人員不足は一気に解消されるはずだ。
民間企業であれば、多忙な部署に人員を集中投下して人員不足を補うのが常識だ。
警察組織の硬直性が人材の移動を妨げているのかもしれないが、人員不足を叫ぶ前に組織の硬直性を改善することが肝要だと感じた次第だ。
なお、私の貴重な時間を奪った光が丘警察署の2人の警察官の名前は控えているが、武士の情けとして現時点での公表は差し控える。

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編集部より:この記事は弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2026年2月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。







