銀行よりnote !?「コンテンツ貯金」という発想がヤバい

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毎月3万円、銀行に預けている人は多いだろう。1年で36万円。立派だ。でも、それ以上は増えない。むしろインフレで実質目減りしている。

物価が上がるたびに、通帳の数字の意味が薄くなっていく。真面目に貯金してきた人ほど、あの虚しさは知っているはずだ。

発信をお金にかえる勇気」(末吉宏臣 著)きずな出版

で、ここからが本題なのだが。

「コンテンツ貯金」という言葉を聞いたことがあるだろうか。ない? まあ、そうだろう。私が言い始めたようなものだから(誰も聞いてない)。

要するに、こういうことだ。あなたの経験や気づきを記事や動画にして発信する。それは銀行預金と違って、24時間365日、勝手に誰かの目に触れて、お金を生み続ける。寝てても。風邪ひいてても。何もしなくても。

嘘くさい? わかる。私も最初はそう思った。

でも、知り合いの女性の話を聞いて考えが変わった。彼女は週1本、300円の記事を書くことから始めた。通勤電車の中と帰宅後の30分。たったそれだけの時間だ。最初の月の収入は1200円。「こんなの、意味あるのかな」と悩んだらしい。そりゃそうだ。

ところが、5カ月後に変化が起きた。過去の記事を読んだ人が新しい記事も読む。SNSでシェアされて新しい読者がつく。気がつけば月収3万円を超えていた。

そして1年後。彼女は「コンテンツ貯金」の意味を身をもって知ることになる。書いた記事が、何もしなくても毎日読まれ続け、少しずつ収入を生んでいく。いまでは月15万円以上だという。通勤電車と帰宅後の30分から始まった15万円だ。

ここが銀行の貯金と決定的に違う。普通の貯金は引き出せば減る。当たり前だ。でもコンテンツ貯金は、たくさんの人に「引き出して」もらうほど価値が増える。読まれるほど、シェアされるほど、感想をもらうほど膨らんでいく。複利どころの話じゃない。使えば使うほど増える貯金なんて、銀行にはない。

しかも、だ。コンテンツ貯金の価値はお金だけじゃない。同じ悩みを持つ誰かの勇気になったり、人生を変えるきっかけになったりする。今日書いた記事が10年後に誰かを救うかもしれない……いや、これは綺麗事に聞こえるか。でも、実際にそういうコメントをもらった人を何人も知っている。綺麗事じゃなくて、起きている現実だ。

銀行に行かなくていい。投資の知識もいらない。必要なのは、スマホと、あなたの経験と、30分の時間だけ。あなたが人生で積み重ねてきた経験、日々の気づき、誰かに教えたくなる小さな発見。全部、コンテンツ貯金の種だ。

さて、今日も銀行に3万円預けますか? それとも、noteを開きますか?

※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムに編集し直しています。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

<書籍評価レポート>

■ 採点結果
【基礎点】  37点/50点(テーマ、論理構造、完成度、訴求力)
【技術点】  19点/25点(文章技術、構成技術)
【内容点】  19点/25点(独創性、説得性)
■ 最終スコア 【75点/100点】
■ 評価ランク ★★★ 標準的な良書
■ 評価の根拠
【高評価ポイント】

テーマの時代性:副業・個人発信が当たり前になりつつある時代に、「コンテンツ貯金」「発信の複利」という切り口で参入障壁の低さを伝える着眼点は的確である。

比喩の巧みさ:銀行預金とコンテンツを対比させる構造や、複利という金融用語を発信に転用する比喩は直感的に理解しやすく、概念の伝達力が高い。

【課題・改善点】
概念先行の構成:「複利が効く」「雪だるま式に増える」「コンテンツ貯金」など魅力的なキーワードは並ぶが、その大半が概念の提示にとどまっている。読者が知りたいのは「具体的に何をどう書けば300円の記事が売れるのか」「5カ月で読者が増えた女性は何をしたのか」というディテールであり、そこが薄い。

「始めよう」の反復:繰り返されるメッセージは煎じ詰めれば「とにかく始めろ」の一点である。必要性は十分に伝わる。伝わるが、「でもね、始めた後どうすればいいの」という読者の声が聞こえてきそうだ。背中を押す力はあるが、押された先に道が見えない。

■ 総評
「コンテンツ貯金」「発信の複利」という概念の提示力には見るべきものがあり、発信未経験者の心理的ハードルを下げる入口としては機能している。しかし、本書の記述は「始めることのメリット」を手を替え品を替え語ることに紙幅の大半を費やしており、肝心の「どう書くか」「何を工夫するか」「失敗したらどう立て直すか」という実践のディテールが不足している。

概念に共感した読者が次の一歩を踏み出そうとしたとき、本書がその道標になれるかというと心許ない。発信の世界に誘う「パンフレット」としては優秀だが、「実用書」として手元に置くにはもう一段の具体性がほしいところである。

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