国内独り勝ちの三菱UFJアセットマネジメントがやるべきこと

内藤 忍

日本経済新聞電子版によれば、2025年の国内公募のETFを除く追加型株式投資信託の運用会社別年間資金流入額を算出したところ三菱UFJアセットマネジメントが5兆6648億円とぶっちぎりの1位となりました(図表も同紙から)。

これは言うまでもなく、低コストのインデックスファンドのeMAXIS Slimシリーズが大量の資金を集めたからです。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は年間で2兆4535億円、米国株式(S&P500)は1兆9428億円の資金が流入し、年間資金流入額で1位と2位になっています。この2本だけで4兆円を超えています。

インデックスファンドはファンドサイズが大きくなると運用成績が低下するアクティブファンドとは逆に規模の経済が働く金融商品です。

残高が大きくなると運用が安定し、実績が評価される。そうなると、より資金が集中することになり、ますます残高が大きくなっていきます。また、運用資産額が大きければ、年間の管理コストである信託報酬を引き下げる競争力が強まります。

もはや、他の国内投資信託運用会社がインデックスファンドで残高を逆転する事は三菱UFJアセットマネジメントに不祥事でもない限り極めて難しいといえます。

同社がやるべき事はさらにインデックスファンドシリーズの残高を拡大し、海外の運用会社に対抗できる規模にしていくことです。

そのためにはまずアクティブファンドの設定・運用から撤退し、インデックスファンド専業のアセットマネジメント会社として効率性を高めることが大切だと思います。

なぜなら三菱UFJアセットマネジメントのアクティブファンド事業には競争優位性が感じられないからです。個別企業の調査を行うアナリストを削減し、インデックスファンドにフォーカスしファンド1本あたりの規模を大きくしていくことで、国内他社に圧倒的な差を付けることが可能になります。

規模が確保できないアセットマネジメント会社はコスト競争についていけずインデックスファンドビジネスから撤退していくことになるでしょう。

そして、もう1つやるべき事はファンド名の変更だと思います。どのような経緯で名付けられたかは分かりませんが「イーマキシス・スリム」という早口言葉のような覚えにくい名称は認知度拡大していく中ではマイナスです。

早いタイミングで親しみやすく発音しやすいファンドシリーズ名に変更して、これからさらに広がる個人投資家層にアピールしていくべきでしょう。

三菱UFJアセットマネジメントの競争相手はもはや国内のアセットマネジメント会社ではなく、アメリカのバンガード、ブラックロック、フィデリティといった巨大資産運用会社です。

日本人の個人金融資産の効率的な運用機会を提供する金融機関として世界を見据えて規模の拡大にアクセルを踏んで欲しいと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年2月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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