カリスマ指導者の亡き後

幸福の科学という新興宗教団体を覚えている方もいらっしゃるでしょう。大川隆法氏が80年代半ばに立ち上げた宗教団体です。大川氏は東大卒でとにかく書籍を出版しまくった人で国内発行数は3100種に上るとされます。かつて書籍販売ランキングでは必ず大川氏の書籍が入っていた時代もありました。が、2023年、66歳にして急逝します。誰が継ぐのか興味津々で見ていたのですが、奥様にバトンタッチする様子も見えますが、いまだはっきりしていないようです。正直、解散した方がいいのではないかと思っています。

もう一例あげましょう。世界統一教会。1954年に文鮮明氏が立ち上げました。反日思想が強く、日本への恨みを信仰を通じて仕打ちをするような話でしたが、日本では芸能人が入信するなどして悩める女性の心をつかみ強力な集金マシーンと化します。その上、自民党などの議員とも組んで集票マシーンも兼ねるなど社会問題化しました。その文鮮明氏が2012年に亡くなると氏の後妻である韓鶴子氏が総裁に就きます。文氏は死の直前、妻の韓鶴子氏が総裁の地位に就くことを望んでいなかったようですが、鶴子氏は強引に総裁になり、新しいテーゼを打ち出します。その韓氏は尹錫悦前大統領に取り入ることに成功するも逮捕されます。日本でも3月4日に高裁が旧統一教会の解散命令に関する判決を言い渡します。

個人的には世界統一教会は日本での判決がどうなるにせよ終わった団体だと思います。なぜかといえば教祖様の教えは簡単に引き継がれないからであります。幸福の科学も旧統一教会も奥様にバトンが渡るわけですが、宗教において血のつながっていないワイフが人的存在感や教祖の哲学に意味を持たせる信者の心を捉えるのは難しいのであります。

ちなみにオウム真理教はその後、原理派とも言える浅原の次男率いる「アレフ」と上祐史浩氏率いる「ひかりの輪」があり、割と草の根活動で結構広がっています。次男は浅原の血縁であること、上祐氏は一定のカリスマ性があるからゆえに広がりをみせているのでしょう。

そんな中で今日の最大のスポットライトは創価学会です。この団体は残れるのでしょうか?規模が非常に大きくなったこともあり、すぐには消えませんが、存在感は今後さらに小さくなるはずです。理由は池田大作氏が亡くなったからです。

故・池田大作氏 NHKより

創価学会の精神は戦後の恵まれない時代に収入層的にはいわゆる大衆層の取り込みを行い、苦しい生活の中で信仰を通じたコミュニティ形成を原点としています。そして第3代会長である池田氏は1960年から死去する2023年まで実質トップに君臨します。ですが、その間に日本の社会は大きく向上し、創価学会の初期の思想は社会の中で充足され、会員の実質的激減を招きます。現在公称会員数は827万人で全く動かないのですが、実数は200万人台とされ、高齢化が目立つ学会員は今後、10年で激減となるはずで私の予想では100万人を割ってもおかしくないとみています。

なぜ創価学会に期待が持てないのでしょうか?まずなぜ、池田氏がそれだけ長期間にわたり崇められたかです。カリスマ指導者を神聖化し昇華させたことで池田氏を絶対視したことが逆に氏の死去後、糸の切れた凧になったように感じます。(実質は原田稔現会長の長期政権になっていますが、退任の噂もあるし、氏の在任中、学会員の減少には歯止めが効かなかったのは大きな事実です。)もう1つは日本が裕福になり、創価学会の手ほどきを会員の二世、三世が必要とせず、信者の高齢化を招いたことがあります。言い換えれば創価学会はある意味、社会主義的思想が強く、経済基盤の改善を背景にした幸福実現に強みがあったとも言えないでしょうか?

そんな創価学会がなぜ自民党と組んでいたのか不思議ですが、タッグマッチを組んだ時、ほぼ考えが相違するも集票目的でお互いのメリットだけを考えた打算の産物でありました。ちなみに幸福の科学も独自の政党である幸福実現党があったものの自民党とは相反していません。統一教会は言うまでもありません。ということは自民党は下心満載の昭和型の集票マシーンをあらゆる形で投入することで一つの時代を築いてきたとも言えます。

いわゆる信仰心というのはその個人がおかれた社会、経済、家族関係の中で弱い部分を補完する役目があります。そして人間の心理として一旦その信仰心を身につけると死ぬまで止めにくいのが性とも言えます。その中で今日おかれた問題には2面性があります。1つは宗教団体のカリスマ的トップが亡くなれば後継しにくいこと、もう1つは信者がその子供を含む家族に引き継がれにくい点です。後者の場合、生活環境の相違と共に家族がバラバラに居住する時代となり親から子への影響力が薄まってしまったことも一因かもしれません。

ただ新興宗教は人の心の弱さに入り込むわけですから今後、技術革新と急速に変化する社会の中でそこから落ちこぼれたり社会に同化できない人を救う新たなる新興宗教団体が生まれてきても何ら不思議ではないとも言えそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年2月24日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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