焦点となる高濃縮ウランの所在
米国によるイラン攻撃が続く中、次の焦点として浮上しているのが「米軍の地上部隊派遣」と「イランの高濃縮ウランの所在」である。空爆によって核施設が攻撃された後、米国が最終的に狙っているのは、イランが保有するとみられる高濃縮ウランの確保または無力化だとされる。しかし、その実現には空爆だけでは不十分との見方が強い。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより
地上部隊派遣の可能性
トランプ米大統領は最近、イランへの地上部隊派遣の可能性について完全には否定していないものの、現時点では決断には至っていないと述べている。報道によれば、トランプ政権はイランの高濃縮ウランを確保するための特殊作戦の可能性を検討しているものの、大規模な地上派遣の決定には「まだ遠い」とされる。
しかし、仮に米軍がウランを確保しようとする場合、小規模な特殊部隊だけでは不十分になる可能性が高い。関係者によれば、地下施設に保管されている核物質を回収または無力化するには、特殊作戦部隊に加え、周辺地域の警備や兵站支援のために数十から数百人規模の地上部隊が必要になる可能性があるという。
このため、ウラン確保作戦は事実上、米軍のイラン本土への地上投入につながる可能性がある。
地下施設に残るウラン
問題となっているのは、イランが保有する高濃縮ウランの所在だ。米軍とイスラエルによる攻撃で核施設は大きな被害を受けたものの、核物質そのものが完全に破壊されたわけではないとみられている。
国際原子力機関(IAEA)によれば、イランが保有する約60%濃縮ウランの相当量が、イスファハンの地下トンネル施設に残っている可能性がある。推定では約200キログラムが同施設にあるとされる。
60%濃縮ウランは兵器級(約90%)には達していないが、遠心分離機が稼働すれば数週間で核兵器級に引き上げることも理論的には可能とされる。専門家の中には、この量のウランが最終的に核兵器に転用されれば、複数の核弾頭を製造できる可能性があると指摘する者もいる。
空爆では解決できない問題
空爆だけでは問題が解決しない理由の一つは、イランの核施設が地下深くに建設されていることにある。
例えばナタンズやフォルドゥといった施設は、数十メートルの地下に建設され、厚いコンクリートや山岳地形によって保護されている。こうした施設は空爆に対して高い耐久性を持つとされる。
また、イスファハンの施設はトンネル型構造であり、通常の地下施設にある換気シャフトなどの弱点が少ないため、空爆だけで内部の核物質を破壊するのは困難とされている。
そのため米政府内では、特殊部隊が地下施設に侵入し、核物質を回収するか、あるいは希釈して兵器化できない形にする作戦も検討されていると報じられている。
最大の不確実性は「ウランの所在」
さらに厄介なのは、イランがすでに核物質を移動させている可能性がある点だ。
空爆前に施設から核物質が移動されていた可能性を指摘されており、仮に地下施設を制圧しても、肝心のウランが別の場所に移されていれば作戦の意味は薄れる。
このため、軍事作戦と並行して情報機関による追跡や監視が続けられているとみられる。
戦争の目的は何か
こうした状況の中で、米国の軍事行動の目的そのものを疑問視する声も出ている。
仮にイランの核施設を破壊しても、ウランが残っていれば核開発能力を完全に消し去ることはできない。また、ウランを確保するために地上部隊を派遣すれば、戦争は大きくエスカレートする恐れがある。
イランの核能力を本当に無力化するには、単なる空爆ではなく、核物質そのものの管理や処理まで含めた長期的な対応が必要になる可能性がある。
戦争は次の段階に向かうのか
現時点で米国は空爆と限定的な軍事行動を中心とする戦略を維持している。しかし、イランの高濃縮ウランがどこにあり、それを誰が管理するのかという問題は依然として解決していない。この問題が解決されない限り、米国がより踏み込んだ軍事行動に出る可能性は完全には排除できない。
米軍がイラン本土に地上部隊を派遣するのか、それとも限定的な軍事行動にとどまるのか。その判断を左右する最大の要因は、いまも地下施設に残っているとみられる高濃縮ウランの行方である。







コメント