中東情勢の緊迫化で原油価格の高騰が懸念される中、日本政府は石油備蓄の大規模放出とガソリン補助金の再開を決めた。しかし、本来は国際協調で行うべき備蓄放出を日本が単独で決めたことに対し、市場の混乱や投機を招きかねないとの批判も出ている。
- 高市早苗首相は3月11日、イラン情勢の緊迫化による原油供給不安を受け、16日にも石油備蓄を放出する方針を表明した。
- 放出量は民間備蓄15日分と国家備蓄1カ月分を合わせた約8000万バレルで、過去最大規模となる。
- 日本が単独で国家備蓄を放出するのは初めてで、ホルムズ海峡の航行困難により日本向け原油輸入が減少する可能性を想定している。
- 政府はガソリン価格が上昇した場合、補助金を再開し全国平均で1リットル170円程度に抑える方針を示した。
- 補助金は19日出荷分から支給し、軽油や灯油、重油にも同様の措置を取る。
- 一方で、エネルギー市場では備蓄放出は本来、国際エネルギー機関(IEA)加盟国による協調行動として実施するのが原則とされている。
- 日本が単独で大規模な備蓄放出を行えば、市場に「供給危機が深刻化している」というシグナルを与え、かえって価格上昇や投機を誘発するリスクが指摘されている。
- 過去の石油危機でも、IEA加盟国は市場の混乱を避けるため協調放出を基本としてきた経緯があり、今回の日本単独行動には政策判断として疑問視する声が出ている。
- 政府はIEAとの協調放出も協議しているとしているが、その結論を待たずに日本だけが先行して備蓄放出を決めた点について、外交・エネルギー政策の整合性を問う指摘もある。
今回の措置は、エネルギー価格の急騰から国民生活を守るという目的を掲げているものの、日本単独での大規模備蓄放出は市場の不安心理を刺激し、投機を招く可能性もある。本来は国際協調のもとで実施すべき政策を先走って決めた政府の対応が、かえって原油価格の不安定化を招くのではないかとの懸念が広がっている。

高市首相 首相官邸HPより







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