昨年秋、鳴り物入りでスタートした日本のステーブルコイン、JPYCですが、一般的にはまだ「なにそれ?」レベルかもしれません。多分、使うところがないからではないかと思います。日本は世界で最も決済手段が多い国ではないかと思います。クレカ、PayPay、Suica… もちろん現金もあります。それぞれがそれぞれの進化を辿っているので統一感がなく、使い手によりまちまちな感じがします。なのでコンビニなど小売店の前には端末がたくさんあったりして便利なようですが、日本的なバラバラ感があります。

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5-6年前、クレカのポイント技が話題になったのですが、その技をいまだに駆使している人はかなりの通だと思います。私の知る限り、ある程度の人が「脱落」し、「各々都合の良い決済手段に身を任せ…」ではないかと思います。
そんな中で次はステーブルコイン、と言われても一般大衆からすれば「どこでどう使うのよ?」だろうと思います。それはある意味、日本が恵まれているからであり、それを必ずしも必要としないからでありましょう。各自が慣れた決済手段で現状、問題ないからです。
では質問。もしも日本円が今後、大暴落し、200円に向かうと予想されたとき、あなたはどう資産防衛しますか?資産防衛は大げさな表現かもしれませんが、我々の決済は円という政府通貨の上に成り立っているのですが、このように恵まれた国はごく限られているのです。EUに加盟したい国が多いのは通貨の管理が大変だからユーロに入ってしまえば楽ということはあるでしょう。
先般、私のところで15年ぐらい前に働いていた人と大阪で再会しました。彼女はカンボジアで長く不動産事業を担当していることもあり、頻繁に同国に行っています。話を聞くと「全部米ドル決済だし、預金もその利息も米ドルだし…」と。
最近はどうか知りませんが、昔は南米は米ドルが当たり前に流通していたし、もっと昔はソ連では米ドルショップでしたし、当時の東欧諸国はビザ取得に1日当たり〇米ドルと現地通貨との強制両替を課していました。
最近米ドルの信認が揺らいでいるのではないか、という話はこのブログで何度か振ったと思いますが、米ドルを諦めて金(ゴールド)でモノを買えるかといえばNOであります。つまり汎用性という点では米ドルに勝るものはないのであります。
アフリカを含むいわゆる途上国は通貨が安定しないない中、急速に普及したのがステーブルコイン。規制によりステーブルコインは基本的には発行額と同額の担保を持っていることが求められ、その担保がどこの国のどんな資産かがステーブルコインの性格になるとも言えます。それらの国の人々はタンス預金を自国通貨からステーブルコインに切り替えたというわけです。
昔、それらの国に行くとボロボロになった米ドル紙幣が流通していたものですが、それが仮想通貨に早変わり、しかもそのステーブルコイン上の資産の大半は米ドルベースのUSDCかUSDTベースであります。なぜ、途上国でステーブルコインが急速に普及したかと言えば私の思うところ、すでにそれらの国では実質二重通貨的な仕組みが長く存在しているからでありましょう。例えばメキシコのリゾート地に行けばペソだけでなく、米ドルやカナダドル、ユーロも受け取ってくれます。
世界ベースでみるとステーブルコインは様々あり、雨後の筍のように増えてきていますが、実際に市場占有率を見ると米ドルベースで担保されているテザー(USDT)とUSDコイン(USDC)が市場の80%を占めています。桁違いの規模なのですが、そこは流通と安定性の高い米ドル故の強みだからでしょう。将来ユーロベースとか、円ベースのコインが出たとしても個人的には米ドルベースに勝てることはまずないと思います。むしろ、日本人が先々米ドルベースのコインが欲しいと思うのではないかぐらいに思います。
ステーブルコインは何処で流通できるか、これが問題であります。例えば一部のオンラインストアではそれで決済が出来つつありますが、まだまだ孵化期です。ただ、私はたぶん、2年後にはオンラインストアのコイン決済は普通になると思っています。日本国内でも決済手段は嫌というほどあるので、私が期待しているのはクロスボーダー取引。つまり海外との貿易決済や海外のオンラインショッピングであります。今はクレカで海外決済もできますが、手数料がバカ高いし為替のリスクもあります。ですがコインならそれは解決できます。
この場合、双方が同じコインを受け取れる環境が必要なのでそれができるのかが普及の肝かもしれません。現在のSWIFTによる送金決済手続きが前近代的なものなのでそれを一気に解決するものとして期待されているのです。
ステーブルコインはどこまで普及するか、ですが、案外、日本のコインではなく、アメリカのコインが日本市場に浸透するような気がしてなりません。だとすれば通貨体系の革新的変化が起きるのかもしれません。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年3月20日の記事より転載させていただきました。







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