建築格差社会が来る!やっぱり家は賃貸より購入だ

黒坂岳央です。

以前、筆者は「住宅は賃貸より購入するべき」という主旨の記事を書いた。「それは人による」「ライフスタイル次第だ」という反論も頂いたが、それから時も経過し、その仮説を強力に裏付けるデータが出そろってきた。

2026年の公示地価において、住宅地の全国平均が2.1%上昇し、5年連続で値上がりとなった。東京23区は前年比9.0%上昇と18年ぶりのトップを記録し、都心6区の新築マンション平均価格はついに1億9503万円に達した。もう普通のサラリーマンが買える価格ではなくなってしまった。

賃貸派と購入派の議論は長らく「どっちもどっち」とされてきた。しかしこのメガトレンドを前にすれば、経済的側面からの答えはほぼ出たといっていい。

長期的に見て、持ち家を持った人間と賃貸の間には格差が生まれるだろう。「いずれは家を」と考えている人は早く買った方がいい。

koumaru/iStock

建築費高騰は「一時的」ではない

「さすがに高すぎていつか落ち着く」と高をくくっている人もいるが、あいにくその認識は甘いと言わざるを得ない。建築費の高騰には、単に人気エリアの一時的なバブルという需要の波ではなく、供給能力そのものの劣化という構造的な原因がある。

第1に、建設業の職人不足だ。2000年代から就業者数は約30%減少しており、高齢化も深刻だ。第2に、円安と資源高が重なった資材コストの上昇。木材・鉄鋼・コンクリートのすべてが値上がりしている。そして第3に、2024年問題(建設業の残業規制強化)による労働供給の構造的な収縮だ。

これらに加えて、今後はイラン情勢による原油高が資材費をさらに押し上げるリスクもある。

これだけの要因が重なっていれば、需要が多少冷えたところで価格は大して下がらない。供給能力の天井が低くなっているからだ。「いつか安くなる」を待ち続ける戦略は、現実的なシナリオとしてほぼ機能しない。

地方も例外ではない

筆者は現在地方移住しており、直近で中古の戸建てを購入した。

前の売主は自宅兼オフィスとして使っていたが、事業が順調すぎて自宅が手狭になり、地元の豪邸へ移り住んだ。そのために現在の家を売りに出したという経緯があったのだ。「購入価格でいいから早く売りたい」と売り急いでいたこともあり、筆者はほぼ購入時の価格に近い値段で手に入れることができたのだ。

SUUMOを見てみると今、同じエリアで同じような間取り・同じメーカーの物件を買おうとすれば、自分が払った金額より3000万円ほど高い。自分が特別優れた目利きだったわけではない。ただ、たまたま非常にタイミングが良かったようだ。

しかしこのタイミングの違いが決定的となる。今から同等の物件を手に入れるためには、筆者より3000万円も余計に払わなければならないのだ。

さらに興味深いのが近所の住民構成だ。周辺には外国人が非常に多い。職業は経営者、医師、芸能関係者などで、いわゆるサラリーマンはほとんど見当たらない。円安を背景に割安感を感じた外国人富裕層が流入している可能性は十分ある。

都心の高額物件では購入者の約2割が外国人という指摘もあり、これはもはや東京だけの現象ではなくなりつつある。

「建築格差社会」が静かに始まっている

今後、住宅をめぐる格差は単なる「持ち家か賃貸か」という生活スタイルの違いを超え、資産形成の根幹に関わる分岐点となる。

あくまで人気エリアの良い物件に限定した話だが、購入派は建築費高騰の恩恵を資産価値の上昇として享受し、賃貸派は上昇し続ける家賃コストを払い続ける。この非対称性は複利のように時間とともに拡大する。

地方に目を向けても同様だ。地方主要4市(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇率は縮小傾向だが、これは地方が安くなっているのではなく、東京との格差が広がっているに過ぎない。

リモートワーク可能な職種であれば地方移住は純粋に経済合理性があり、実際に「異動を希望して地方で子育てを検討している」という声も出ている。筆者の新居エリアのタワマンには東京からの移住者が目立つ。フルリモートのエンジニアもいる。地方移住は彼らにとって合理的な選択なのだ。

なお、新築にこだわる必要はない。新築には10-15%程度のプレミアムが上乗せされており、入居直後から価値は下落する。コスパの観点からは築10-15年の中古+リノベーションという選択肢が現実的だ。

論争はほぼ決着した

最終的には人それぞれ、という言葉は否定しない。独身で転勤が多く、特定の地域に縛られたくない人間には賃貸が合理的な場合もある。しかしそれ以外の大多数の人間にとって、「賃貸か購入か」という問いへの経済的な答えはほぼ出ている。

「賃貸は簡単に値上げされないから盤石」という意見はわからなくもない。それ自体は事実だ。しかし現実には、結婚・出産・子の進学・親の介護など、人生の節目ごとに引っ越しは発生する。そのたびに相場の高い賃料を強いられることになる

また、誰しもいつかは年老いるわけだがそこで新たに賃貸を求めても、高齢であることを理由に断られる可能性は高い。いざ、家を買おうとしてもすでに高値過ぎて買えない、となれば行き先を失う。

建築費は構造的に上がり続ける。地価も都市部を中心に上昇が続く。外国人富裕層という新たな需要も加わった。金利も上がり始めている。これだけの要因が重なれば、「もう少し待ってから買おう」という判断がいかに危険かは明らかだろう。人気エリアの良い物件を買えば、住んだ後含み益を得る可能性もある。

長らく続いた「どっちもどっち」論争は、このメガトレンドの前では通用しなくなりつつある。買えるなら、買える時に、買える場所で。それがこれからの時代における最も現実的な住宅戦略だ。

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なめてくるバカを黙らせる技術」(著:黒坂岳央)

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。

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