ローマのサン・ピエトロ広場で、レオ14世教皇はまばゆい太陽の下、4万人の信徒とともに聖枝祭のミサを執り行った。説教の中で、教皇は、イエスが十字架への道のりを通して、真の平和は暴力を拒絶することによってのみ達成できることを私たちに示した、と説いた(「バチカンニュース)。米国人のレオ14世にとって教皇就任最初の復活祭を迎える。

聖枝祭の記念礼拝をサン・ピエトロ広場で挙行するレオ14世、2026年3月29日、ANSA通信
世界のキリスト教にとってイエス・キリストの生誕を祝うクリスマスと共に、イエスの十字架後の復活を祝うイースター(復活祭)は2大祭日だ。今年は29日の聖枝祭から4月5日までの一週間は聖週間と呼ばれている。
聖枝祭はイエス・キリストが十字架にかかる直前に、ロバに乗ってエルサレムに入城した出来事を記念する祝日だ。カトリックでは「枝の主日(受難の主日)」、プロテスタントでは「棕櫚(しゅろ)の主日」とも呼ばれる。エルサレムに入るイエスを、民衆がナツメヤシ(シュロ)の枝を手に持ち、「ホサナ(救いたまえ)」と叫んで歓迎した聖書の記述に基づいている。
聖週間はキリスト教の典礼暦の中で最も神聖な1週間であり、イエス・キリストの受難、死、そして復活を記念する。 具体的には、3月29日 受難の主日(枝の主日)で聖週間が始まり、4月2日 聖木曜日(洗足木曜日)、そして4月3日 の聖金曜日(受難の金曜日)は キリストの十字架上での受難と死を記念する、最も厳かな日だ。4月4日の聖土曜日は 墓に葬られたキリストを偲び、静かに復活を待つ。夜には「復活徹夜祭」が行われる。4月5日は復活の主日(イースター)だ。 キリストの復活を祝う。
以上は、ローマ・カトリック教会などの西方教会の復活祭の日程だが、東方教会の正教会では今年の復活祭は4月12日だ。一週間遅れて祝う。 西方教会は「グレゴリオ暦」を用いるが、正教会の多くは「ユリウス暦」に基づき算出するため、日付がずれることが一般的だ。
今年の聖週間は米イスラエル軍のイラン戦闘以来、中東全域で戦闘が拡散している中で迎えている。聖枝祭の29日、イスラエル警察は、エルサレム・ラテン典礼総大司教を務めるピッツァバッラ枢機卿とフランチェスコ・イエルポ聖地守護者(フランシスコ会)の聖墳墓教会への立ち入りを阻止した。両氏は聖墳墓教会で聖枝祭を祝う予定だった。
エルサレム・ラテン総大司教区および聖地守護区は、キリスト教暦において最も神聖な日の一つである聖日に祈りを捧げることが妨げられたことについて、深い遺憾の意を表明した。それに対し、イスラエル首相府は声明で、エルサレム旧市街にもイランからのミサイルの破片が落下しており、安全に配慮した措置だったと説明している。幸い、イスラエル当局はその直後、両者の聖墳墓教会入りを認めている。
ちなみに、エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という世界3大宗教にとっての「聖地」だ。現在は、イスラエルとパレスチナ双方が自国の首都と主張しており、国際的にも極めて複雑な状況にある。約1km四方の城壁に囲まれた旧市街には、それぞれの宗教の最も神聖な場所が集まっている。
ユダヤ教には「嘆きの壁」だ。紀元前10世紀にソロモン王が建設した「エルサレム神殿」の外壁の一部。かつて「契約の櫃」が納められていた場所として、祈りを捧げる最も神聖な場所だ。キリスト教の聖墳墓教会 は イエス・キリストが十字架にかけられ、処刑・埋葬された後に復活したとされる場所。世界中の巡礼者が訪れる信仰の中心地だ。一方、イスラム教の「岩のドーム / アル=アクサー・モスク」は メッカ、メディナに次ぐ第3の聖地だ。預言者ムハンマドが昇天(ミラージュ)した場所とされている。
なお、イスラエルで4月1日からユダヤ教の3大祭りの一つである「過越祭」(ぺサハ)が始まる。ぺサハは4月1日の日没から4月8日の日没まで一週間続く。過越祭りは古代エジプトで奴隷だったイスラエル人がモーセに率いられて脱出し、神の約束の地カナン(現在のパレスチナ)に入り、自由を手にした歴史を記念する重要な宗教祝日だ。
ロシア軍のウクライナ侵攻は既に4年が経過したが、停戦の見通しはない。一方、米イスラエル軍のイラン戦争は中東全域にその火の粉を拡散してきた。イラン側のホルムズ海峡の封鎖警告を受け、世界の原油・ガス市場は大きな影響を受けてきた。
アブラハムを「信仰の祖」とするユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3兄弟宗教はこれまで「神の名」で戦いを行ったきたが、レオ14世は29日、「神の名で戦うのを止めるべきだ」とアピールしていた。「神の名」で今、和解し、許し合い、連帯すべき時ではないか。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年3月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。







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