2月28日に突如開始された米国とイスラエルによるイラン攻撃は、1か月が過ぎた現在も収束どころか拡大の一途をたどり、米軍基地が展開する中東湾岸諸国(サウジアラビアやUAEなど、いずれも世界経済に不可欠な産油国)も巻き込んだ中東戦争の様相を呈している。
本稿を執筆中の3月30日時点で、パキスタンなどが仲介する形の停戦交渉が進んでいる一方、空爆だけでは軍事目的を達成できないとの理由から、地上侵攻に備えた陸上戦闘部隊(海兵隊や陸軍空挺部隊)が戦域に展開中との情報もある。
しかし、地上戦となれば米軍の犠牲は大規模なものとなり、ベトナム戦争の二の舞になりかねないため、現実的ではないとみられている。
そもそも米国の軍事目的は不明確である。共同作戦を展開しているイスラエルは、イスラム革命体制の転換という目的を明らかにしている。
一方、トランプ大統領は開戦当時、体制転換を明言していたが、最近ではイランの頑強な反撃に直面し、そこまでは困難と判断したとみられる。現在は、世界経済を破壊しかねないホルムズ海峡封鎖の打開を最優先に、イランの核開発計画の完全な終結と弾道ミサイル攻撃能力の排除に方針を転換したようだ。
一刻も早く戦争終結を
いずれにしても、この戦争は一刻も早く終わらせなければならない。あと1か月ホルムズ海峡の封鎖状態が続けば、エネルギー供給を同海峡に大きく依存する我が国をはじめとするアジア諸国の経済や国民生活は深刻な危機に直面する。
戦争終結のカギを握るのは、もちろん米国のトランプ大統領である。したがって、世界中が注目する日米首脳会談において、高市総理は外交辞令を交えつつ早期停戦を強く促した。
その上で、英・仏・独・伊・蘭とともに、ホルムズ海峡の安全航行を回復するための国際協力体制の構築を世界に呼びかけた(現在までに33か国が同調)。今後は、この提案を具体的な共同行動につなげていかねばならない。
この6か国共同声明を主導した日本としても、「一国平和主義」(日本だけが平和であればよく、国際的な関与には消極的な姿勢)を乗り越え、「積極的平和主義」(行動によって国際平和に寄与する姿勢)の旗を高く掲げ、イラン戦争によって深刻な危機に陥る世界でリーダーシップを発揮すべきだと考える。
日本経済と国民の生活を守れ
さて、問題は日本経済である。中東情勢から深刻な影響を受ける国民生活を守らなければならない。
周知の通り、日本は原油輸入の約9割を中東に依存している。その大半がホルムズ海峡を通過している。
ホルムズ海峡はイランによって事実上の封鎖に追い込まれ、3月30日現在で1300隻余りの船舶がペルシャ湾内に滞留している。この影響は甚大で、石油と液化天然ガス(LNG)だけでなく、中東諸国が生産・輸出で大きなシェアを持つ肥料やヘリウムの価格も上昇している。燃料価格の高騰はガソリン価格や電気料金などに影響し、肥料価格の上昇は食料品価格に影響を及ぼす。
一方、我が国の石油備蓄は254日分あることから、政府としては原油や石油製品については十分確保できると強調し、1970年代の「オイル・ショック」のようなパニックを起こさないよう冷静な対応を国民に呼びかけている。
赤沢経産相が新たに「重要物資安定確保担当大臣」に就任し、
- 石油備蓄が200日以上あり、燃料油・石油製品とも供給に問題がないこと
- プラスチックやゴム製品など国民生活の隅々にまで浸透しているナフサも、国内需要の4か月分が確保されていること
- 今後はバスやフェリーなどの燃料や工場、農林漁業用燃料なども、供給の偏りや目詰まりの解消によって不安を払拭すること
などを力強く表明した。
もちろん長期的には、石油やLNGからレアアースなど重要鉱物に至るまで、一つの国や地域に過度に依存しないよう供給源の多角化によってサプライチェーンを強靭化し、我が国の経済安全保障を確立しなければならない。同時に、自国のみならずアジアの友好国に対する支援も重要である。
石油備蓄が我が国の4倍もある中国は、この危機に乗じて東南アジアへの支援を活発化させ、影響力の拡大を図っている。これに対し、我が国もフィリピン、ベトナム、インドネシアに対して原油や軽油、液化石油ガス(LPG)※)の調達支援や融通を行うなど、戦略的なリーダーシップを発揮していく必要がある。
※)以前は中東より輸入していたが、2012年から輸入先の転換が行われ、現在はアメリカ・カナダ・オーストラリアから約96%を輸入している。

イランのペイマン・セアダット駐日大使と会談し、外交的解決の道筋について真剣な意見交換。
中東に築いてきた信頼を外交に生かせ
それでも、世界経済の破綻を回避するには、何としても4月中にイラン戦争を終結させるべきである。
そのための努力を米国任せにせず、国際社会全体の取り組みとして、あらゆる可能性を探り、紛争当事国に戦闘停止を促すべきだ。そのために我が国が果たすべき役割は小さくない。長年培ってきたイランとの友好関係を今こそ発揮すべきであり、イスラム諸国にもイスラエルにも偏らない日本外交は、トルコやエジプト、サウジアラビアなど中東諸国からの信頼も厚いはずである。
我が国が米国をはじめとする西側先進国やグローバルサウス諸国との連携を主導する外交力を示す大事な機会である。
自由で開かれたインド太平洋(FOIP)を実現するため、一国平和に引き籠もるのではなく、積極的な行動によって世界の、とりわけ中東の平和と安定に貢献する力強い外交を展開していくべく、私も政府与党の一員として全力を尽くしていく。
編集部より:この記事は、衆議院議員の長島昭久氏(自由民主党、東京18区)のオフィシャルブログ 2026年4月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は衆議院議員 長島昭久 Official Blog『翔ぶが如く』をご覧ください。







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