
Alones Creative/iStock
3月に入って突然、米国とイスラエルによるイラン攻撃が行われて以降、イラン情勢が緊迫し、決して起きない最悪シナリオと言われていたホルムズ海峡封鎖が現実となった。これまでは当然と受け止められていた石油の安定供給が、今は国民の一大事として毎日のように報道されている。
石油の中東依存度を示すエネルギーデータとしては、無料で公開されているEnergy InstituteのStatistical Review of World Energy 2025に、以下の図(2024年の地域間の石油の輸出入)がデータとともに示されている。
この図からは、石油の輸出が最大なのは中東、輸入が最大なのは中国、日本の輸入はほとんどが中東からであることはわかるが、中東依存度という意味ではわかりにくい。

図1 原油の地域間における輸出入(2024年)
そこで、この図の元データから、地域別の原油輸入における中東依存度を計算して描いたのが図2である。
最近頻繁に報道されている通り、日本の原油の中東依存度は95%と、他の地域と比較して抜きんでて高いことを示している。また、その他アジア太平洋は70%、中国は60%弱、インドは50%弱と、アジア地域は全般的に原油輸入における中東依存度が他の地域に比べて高いことがわかる。

図2 地域別の原油輸入における中東依存度(2024年)
中国、インドの中東依存度が日本やその他アジア太平洋より低い理由として、ロシア産原油の輸入割合が比較的高い(中国20%、インド37%)ことが挙げられる。両国のロシアからの原油輸入については、ロシアへの経済制裁の足並みをそろえていないという理由で国際的に批判されているが、中東依存度を下げるという意味では有効であると考えられる。
なお、インドは2025年10月に米国の関税措置を受けてロシア産原油の輸入停止を決定したが、今回の中東情勢の緊迫を受けて、米国は3月5日に30日間のロシア産原油輸入を容認したと報じられている。
Statistical Review of World Energy 2025には、石油製品(ガソリン、ナフサ等)についても同様のデータが示されており、そのデータから石油製品の中東依存度を計算すると図3のようになる。

図3 地域別の石油製品輸入における中東依存度(2024年)
この図から、インドの石油製品の中東依存度が群を抜いて高いことがわかる。日本、中国、その他アジア太平洋の中東依存度は30%前後であり、原油の中東依存度と比較して低い水準である。また、オーストラリアと中南米はともに石油製品の中東依存度が極めて低いように見えるが、この2つの地域の石油製品の輸入元(図4)を見ると、大きな違いがあることがわかる。

図4 中南米とオーストラリアの石油製品の輸入元ポートフォリオ
上図に示すように、中南米の石油製品輸入の70%以上が米国産であるのに対して、オーストラリアはインド、日本、シンガポール、その他太平洋からの合計の輸入割合が90%である。
これらアジア地域は石油製品の原料である原油の中東依存度が高い。つまり、石油製品輸入の直接的な中東依存度は同程度に低いように見えるが、中南米は中東情勢の影響が小さいのに対して、豪州は間接的な中東依存度の高さから中東情勢の影響を大きく受ける。
今も間違いなく石油は世界の最重要資源である。にもかかわらず、昨今は「脱炭素だ」「化石燃料廃止を目指すべきだ」という声が大きくなり、あたかも悪者のように扱われることが増えてきた。それが今、ホルムズ海峡封鎖という未曽有のリスクが現実となり、ガソリンや灯油といった燃料だけでなく、プラスチック等の原料であるナフサの安定的な供給が脅かされる事態に至っている。
石油は我々の日常生活に欠かせないものであるという実態が、広く認識されつつある。日本でも政府・企業による各種の対策が検討され、講じられつつあるが、我々国民がどれだけ石油に依存して生活しているかということを肝に銘じ、記憶にとどめておくことが重要である。







コメント