テーマパーク化する人気飲食店

内藤 忍

飲食店にできる行列をビジネスチャンスに変えて収益化するサービスが登場しました。「SuiSui(スイスイ)」というサービスで、わかりやすく言えば外食版のファストパスです。

スマートフォンから店頭で優先入店チケットを購入することでお店が行列をスキップさせてくれるのです。

世の中には、時間をお金で買ってでも効率を優先したい人たちが確実に存在します。

例えば、観光地を短時間で巡りたい旅行者や、限られた昼休みを有効に使いたいビジネスパーソンにとって、行列に並ぶ時間はお金で解決できるのであればしたいと思うはずです。

行列を解消しようとするのではなく、行列を収益化するこのサービスは店舗側にとっても利益を増やすメリットがあります。

優先チケットの価格設定にはダイナミックプライシングが導入でき、混雑状況や曜日によって価格が変動するのは経済学的に理にかなったシステムです。

興味深いのは、このようなサービスを利用する人は必ずしも富裕層とは限らないことです。

日本経済新聞電子版に掲載されたデータによると日本人利用者の約7割は20〜30代が占め、年収別では500万円未満が半数とのデータになっています。

飲食店の「一物二価」のサービスといえば食オク!を思い出します。これは予約が取れない飲食店の予約権利をオークション形式で競り落とし優先予約できるようにするサービスです。

2つのサービスは似ていますが、食オク!は常連と一見客を価格で差別している点で既得権益者を優遇しており公平とは言えません。

だから私はスイスイにはポジティブですが、食オク!には何だかなぁと思ってしまうのです。

残念なことにスイスイが導入されているお店を見ても、今のところ私が行ってみたいと思うお店がありません。

恐らく長年営業している老舗よりも、観光客に人気のテーマパーク化したような飲食店に向いたサービスなのかもしれません。

ayakono/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年4月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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