Claude Codeが流行っている。だが、流行っているのはClaude Codeそのものではない。「Claude Code」という名前が流行っている。そしてその名前が、驚くほど効率的に金を生んでいる。
この数週間で目にした事例を整理してみたい。

数日で「教える側」になれる世界
ある人物がSNSにこう投稿した。「私はセットアップまだ数日とかですが、気づけば教える側ですよ笑」。数百人を相手にClaude Codeのセッティングセッションを行い、その実践会は千名規模にまで膨れ上がっているという。
何を教えているのか。インストールと初期設定だ。ターミナルにコマンドを打ち込んで、Claude Codeが動く状態にする。それを「AI秘書を爆誕させた」と表現している。
セットアップの完了は、スタートラインに立っただけだ。マラソンのゼッケンを受け取った段階で「完走しました」と言っているようなものである。だが参加者は満足し、アンケートで「セットアップできたことが一番良かった」と回答しているという。
この実践会の導線はこうだ。
有料コミュニティからの流入→Claude Code実践会への参加→オフ会やセミナーへの誘導→再勧誘。
Claude Codeは技術ツールではなく、コミュニティビジネスの集客装置として機能している。
別の人物はこう投稿した。「今すぐClaude Codeを使うのをやめてください」。内容はセキュリティリスクの警告だ。承認プロンプトを理解せずにOKを押し続ける危険性、APIキーの流出リスク。指摘自体は正しい。
だが後半で本音が出る。「だから僕は無料セミナーをやらない」「専門家を呼んで研修をしている」「2日間缶詰で覚えてもらう」。恐怖を煽り、無料では教えられないと希少性を演出し、有料研修に誘導する。典型的なセールスファネルだ。
しかも本人は「正直僕もほとんど読んでない」「読んでもわからない」と承認プロンプトについて告白している。矛盾を抱えたまま、セキュリティを理由に商材を売っている。
40万円のAIスクール
Facebookの広告で広告サービスが流れてくる。AIスクールで、1年プランが約40万円。補助金を使えば実質約10万円弱だという。
教える内容は「営業メール作成の効率化」「提案資料の完成度向上」「議事録の自動生成」。これらはclaude.aiのProプラン(月額約20ドル、年間でも約3万円)で十分にできることだ。「AIスキルを持つ人は賃金が56%高い」というPwCのデータを引用して不安を煽り、高額講座に誘導する構造は、AI版の資格商法と言ってもいい。
Xで104万ビューを集めた「さようなら、パワーポイント。Claudeは120秒で完全なプレゼンテーションを作成できます」という投稿がある。6つのプロンプトが紹介されているが、実際にやってみるとテキストが返ってくるだけで、.pptxファイルは一つも生成されない。
この投稿は英語の原文を機械翻訳しただけだ。検証も補足もなく、日本語圏にそのまま流入している。だが104万人が見て、多くの人が「保存」した。試した人はごく少数だろう。検証されないまま拡散され、次の人が無批判にリポストする。
同じ構造の投稿は無数にある。「Claude辞書」と称して25の機能をインフォグラフィックにまとめたものでは、存在しない「Claude Computer」や外部サービスの「Gamma」が公式機能として並列に並んでいた。正確な情報と不正確な情報が区別なく混在し、見栄えの良さだけで拡散されている。
補助金申請にClaude Codeは要らない
前回・前々回のコラムで検証した事例も振り返ろう。「Claude Codeで小規模事業者持続化補助金の申請書を半日で作成し、一発OKだった」という投稿。検証の結果、7つの工程すべてがテキスト生成と対話による推敲であり、claude.aiで同じことができた。しかも「一発OK」は採択ではなく、商工会議所の様式4発行に過ぎなかった。
この投稿に便乗して、補助金特化AIサービスの宣伝を行うアカウントまで出現している。Claude Codeブームに乗って自社サービスへの導線を作る。ブームが商材を呼び、商材がブームを加速させる循環構造だ。
後編では、事例に共通する構造を分析し、本物の情報はどこにあるのかを示す。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
※ 話題の「Claude Code」について解説しています!



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