日本も選挙の時々の風で流行する政党が生まれる多党政党時代に

北越高校の生徒が犠牲になったバス事故。気になるのはなぜレンタカーバスになり、「知らない人」が運転していたか、であります。これについてバス会社と学校側が全く食い違う説明をしているので我々第三者は誰の話が正しいのか判断できません。当然犠牲になった生徒のご家族を含め誰に過失があったか責めようがありません。このような繊細な事態において推測をはさんではいけないのですが、貸し切りバスのコストは原油価格上昇と人手不足、更にはゴールデンウィーク中だったことで相当高い見積もりだったと思うのです。学校側とバス会社で一定の価格のやり取りがなかったとは想像しがたいところであります。結果としてレンタカーに二種免許を持たないボランティアのような運転手になりこのような事故になったわけですが、我々知らないところで何が行なわれているか認識と違うことは案外世の中に多くあるのかもしれませんね。

では今週のつぶやきをお送りします。

レイ ダリオ氏の予言

アメリカのブリッジウォーターの創業者、レイ ダリオ氏といえば金融業界伝説の人物の1人でありますが、その氏が最近のブルームバーグのインタビューでこう述べています。「国際情勢に目を向ければ、ルールに基づく秩序はもはや存在せず、… 歴史を振り返ると、そのような時期に常に全ての法定通貨は下落し、金は上昇する」と述べ、ポートフォリオの十分な分散を維持し、 5-15%を金に配分すべきと。この文面、スルっと読むと見落としやすいのですが、「全ての法定通貨は下落する」ということは起こりえるのか、であります。

為替の基本は2国間の通貨の交換比率であり、シーソーである、というのは定番的な説明ですが、すべての通貨が下落するならこのシーソー理論を覆すわけです。ほほう。私も考えました。全ての通貨が下落するケースはあり得るのか、です。答えは「あるかも」です。法定通貨は国家が保証した政府発行の通貨のことですが、人民が政府を信用しないケースなどは新興国を中心に過去を含めいくらでも存在しています。ダリオ氏は金を勧めていますが、私はステーブルコインの価値保証を複合的担保(バスケット型担保)にすることで個別政府通貨の価値に頼らない新基準が生まれる公算があると思います。

新興国では既にコイン決済が普通になっている国が多いのは自国通貨の信頼度はなく、やむを得ず米ドルベースのステーブルコインにせざるを得ないからです。しかし米ドルも最近は怪しい存在であり、政権のかじ取り次第で驚くようなことが起きることを見せつけました。とすれば資産を通貨ベースから非通貨ベースあるいは間接的通貨ベースに変えるのは一手段なのかもしれないという教訓とも受け取れたのがダリオ氏の発言ではないでしょうか?

多党政党時代

英国の地方選で5000議席を争う選挙戦の開票が続いていますが、今まで議席がなかった改革党が与党労働党や対抗馬の保守党を抑え首位に立っています。英国の場合、スターマー首相の不人気も相まって労働党以外に入れたい有権者が「でも保守党じゃないよね」ということで選んだ第三極が改革党だったということであります。日本では10数年前に「二大政党時代を目指すのか」という機運すらあったのですが、現代の流れは明らかに多党時代であります。

日本でも伝統的な自民党VS立憲民主党という対立軸は大きく崩れ、右派から左派までさまざまな政党が林立し、選挙の時々の風で流行する政党が生まれてきました。では選挙の風は誰が作るのか、といえば多くの有権者は現在の政治の在り方に何らかの不満を持っている中でその不満解消を新政党に賭ける傾向であり、「一点主張主義」のわかりやすさが勝利しやすい傾向にあるとも言えます。

つまり政治は本来は外交から内政まで実に多面的であるものの、有権者が今、一番気になるまさに「痒い所に手が届く」ことを公約にしてくれる人がいれば「そうだよね」」で、それ以外のことは「それはさておき」になりかねないのかと思います。これは国家の政権の不安定化とも言えるし、現代民主主義の構造的病状と言えなくはないかもしれません。アメリカは残念ながら二大政党制度を崩せず、政治的には後進的とされます。そう考えると日本の政治は時代の波に乗っているとも言えるかもしれませんね。

各党の現・元党首たち(各党HP・NHK・Wikipediaより)

建物の瑕疵

日経の不定期連載「揺れた天秤 新築戸建てに不具合72カ所 メーカー側『全てを補修する義務はない』」の記事は私の経験と重なるところが多く、興味深い内容でした。住宅会社は建物完成に伴い、購入者に内見してもらい、不具合を指摘してもらいます。この記事では戸建ての購入者の女性が完成前に21か所、引き渡し後に更に51か所の72か所を不具合で直せとメーカー側に指摘。判決は初めの21か所に留まることになりました。これ、記事から読み取れることは住宅会社側と購入者の間の圧倒的な不信感と不満があった不幸な売買だったという点です。

私はコンドミニアムを500戸ぐらい引き渡し、顧客担当の私が当然瑕疵も担当しました。大きく揉めた5件は訴訟になりましたが、全部私の勝ち。ただ、お前は凄いという話ではなく、絶対に負けないものだけを戦っただけで、他のケースはかなり譲歩して泣く泣く修復したケースも多々あります。瑕疵の指摘は絶対的不具合と期待値との差の2通りあります。傷とか割れ、欠損などは明白な瑕疵ですが、性能基準になると客はパンフレットなどを持ち出し、「高性能を謳っているじゃないか」とクレームするわけです。

結局、我々も商売なので落としどころを見つけなくてはいけません。500戸も引き渡しをすればその勘所は習得させていただきましたが、結論的に言えば協力業者の下手料(へたりょう)がずいぶんあったと思います。つまり建設事業でどれだけ良い協力業者を確保できるかが勝負で、床がうねっているとか手すりがひん曲がっているのは当たり前でそれを指摘し、やり直させる現場監督の腕次第とも言えます。近年のカナダの住宅なんて安普請で私なんかから見ればこれでこの金額かと思わずため息が出てしまうほど程度は下がっていると申し上げます。

後記
これを書く今はニューヨーク。かつては嫌と言うほど来ていたのですが、ぱったり来なくなり、ふと思えば20年ぶりぐらいかもです。この1か月で日本1週間、カルガリー6日、ニューヨークは4日、ウィスラー1日と目まぐるしい日々でしたがこれが最後の出張でこの後は7月までなしです。NYの物価は高いですが、私はニュージャージー側に宿を取りマンハッタンにはバスで通います。昨夜も歩いて5分の所にビールの醸造所をみつけ良心的価格でしたし、飯はイタリア人が経営するピザ屋で普通の価格でかなり旨いピザを飲み屋の帰りにピックアップで済ませました。物価高の街でまともにレストランにはいかずとも生活の知恵はあるものです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年5月9日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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