お金は生きているうちに使い切った方が良い

内藤 忍

お金の話になると「いかに増やすか」ばかりを考えがちですが、実はそれ以上に難しいのが「いかに使い切るか」だと最近強く思うようになりました。

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遺産相続をする子供や孫がいない私はお金を残して死ぬよりは、それを自分や周りにいる人たちのために生きてる間に有効に使い切って人生を終わらせたいと思っています。

ところが資産形成でいかにお金を増やすかを指南する情報は世の中に溢れていますが、お金をいかに使うかを説いているものはほとんど見かけません。

老後の漠然とした不安を解消するために資産を少しでも積み上げたい気持ちはわかります。

しかし、人生の最後まで資産を増やし続ける努力をする必要はありません。

少なくとも日本人にありがちな「死ぬ時が一番お金持ち」になるような資産設計は避けるべきです。

意図せざる使い切れないお金を残してこの世を去ることは、必要の無いお金を手に入れるための無駄な努力をしていたということです。人生のリソース配分の失敗ともいえます。

私は常々、資産運用は人生を豊かにするための「手段」であって「目的」ではないと言い続けてきました。

目的を明確にしてそれに必要なお金を考えるというアプローチが合理的です。目的の中には自分自身の経験や楽しみにお金を使うこともありますが、社会貢献という選択肢もあります。

社会貢献と聞くと他人のために「やってあげる」ことと思うかもしれませんが、相手から感謝の気持ちというお金にかえられない価値の提供を「やってもらえる」行為でもあるのです。

いずれにしても資産運用の最終的なゴールは、遺産を一円でも多く残すことではなく、自分の人生を納得のいく形で終えること。

だから相続税の節税策を考えるよりも、まずは生きている間に自分のお金をどうするかを考える方が先です。

自分の人生がいつ突然終わるかわからないと言うリスクを考えれば、自分がお金を使える時間は意外に限られているかもしれません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年5月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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