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結論から書く。視力が落ちることは、健康問題ではない。財布の問題だ。
「健康がうんぬん」「目の大切さがうんぬん」——そんな話ではない。月々の出費に置き換えれば、年間5万から7万。これが、目が悪いことの「実費」である。
『1週間で勝手に目がよくなる体になるすごい方法』(平賀広貴 著)日本文芸社
先月、近所のメガネ屋の前を通りかかった。レンズ交換のセールをやっていた。「2枚で2万9800円」――昔より安くなったな、と思った瞬間にハッとした。安くなったのは「1回分」だけ。生涯で何度買い替えるのかを、誰も計算しない。
ざっとやってみよう。10歳でメガネを使い始めて、人生100年。年間5〜7万を90年続ければ、450万〜630万円。コンタクト派ならもっと膨らむ。緑内障、白内障とくれば手術費まで乗ってくる。さらに物価2%上昇で複利を効かせれば、90年で1235万〜1730万円。
1700万円。新車のレクサスが3台くらい買える。あるいは港区の中古ワンルームの頭金くらいにはなる。
それでも、誰もメガネを「投資」だとは言わない。なぜか。たぶん、月々の携帯代を払うような感覚で、無意識に払い続けているからだ。気づかないうちに、銀行口座から「目税」を引き落とされている。そう考えれば、なかなか恐ろしい話である。
ちなみに、日本全体の損失は年間約4兆円という試算がある。それなりに大きな数字のはずだが、ニュースで「視力低下対策」が議論されているのを見た記憶はない。少子化対策には何兆円も注ぎ込むのに、誰も自分の網膜には1円も投じない。不思議な国だ。
そういえば中学生の頃、視力検査で「C」の方向が見えなくなった日のことを覚えている。隣の席の女子に「やっとメガネ仲間だね」と言われた。あの一言の代金が1700万円だとは、当時の私は知る由もなかった。
要は、目を放置すれば、1000万円単位で財布が傷むということ。本当のリスクは、それを「健康問題」だと思い込んでいる、その思考そのものにある。
知らんけど。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
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