DIE WITH ZEROよりDIE WITH MAX

黒坂岳央です。

DIE WITH ZEROという考え方がある。筆者は過去記事でDIE WITH ZEROはお金持ちしか出来ないについて書いた。

DIE WITH ZEROはお金持ちしか出来ない
黒坂岳央です。近年、あちこちで「人生は思い出づくり。お金をためすぎて死ぬな」というメッセージを掲げたDIE WITH ZEROを説く人を見る。特に資産運用を指南するブロガー、YouTuberの間ではこの意見が顕著であり、「お金を増やすことだ...

自分は現在40代だが、40歳になってからお金を稼ぐことと同じくらい、「使って楽しむ」ことを意識している。特に家族との思い出作りはそうだ。今すぐやらねば、60歳からではすでに遅いと思っている。

だが一見、理想的に見えるこの生き方とは対象的なDIE WITH MAXという考え方もあり、もしかしたらそちらの方が理想かも知れないと考え始めた。持論を展開したい。

loonara/iStock

死ぬ時にZEROになるのは無理

まず現実的な問題として、使い切ることは不可能に近い。寿命がいつ来るかわからない以上、「残り資産ゼロで死ぬ」のはギャンブルに近い。長生きすれば資金が尽きる。早く死ねば使い残す。どちらに転んでも「失敗」だ。

さらに見落とされがちな点として、お金に余裕があることが、気持ちの余裕、すなわち幸福の源泉という事実だ。資産が積み上がっていく過程で、いい住居に住み、美味しいものを食べ、家族と旅行する。これはすでにDIE WITH ZEROが目指す豊かな消費の半分を達成している状態だ。

資産を使い切ることだけを目標にするのは机上の空論、現実的にはむしろ気持ちの余裕を自ら削り取る行為と言っていい。貯金ゼロで贅沢を続けられる胆力の持ち主などほぼ存在しない。

実際、「ZEROを目指す」といっている人はみんな平均値からかけ離れた多額の資産を抱いたままあの世に行く。口では「使い切るぞ」といいながら、実際にやっていることは延々と資産増やしなので、大きく矛盾しているケースも少なくない。

いつまでも消費者はつまらない

もう一つ根本的な問題がある。「使い切る」という発想は、自分が生涯にわたって消費者であり続けることを前提にしている。だが人生の豊かさは消費量に比例しない。

自分の実感として、40代以降は消費者という役割を部分的に卒業した方が人生は面白くなる。もちろん自分が主役である仕事や表現を持ち続けることは否定しない。プレーヤーとして第一線に立つ喜びは、年齢に関係なく人生の核になりうる。ただ同時に、場面によってはプロデューサーの顔を持つことが、人生に新しい豊かさをもたらす。

たとえば会社であれば、いつまでも自分だけがプレーヤーであり続けることには限界がある。後継者を育て、自分のスキルを移譲し、組織が自分なしでも動く状態を作る。育児で次世代を育てる。顧客の成功を自分の成功として喜ぶ。これは消費では絶対に得られない満足だ。

おいしいものを食べ、良い場所に住んでも毎日続けば日常になる。そうなれば特別感もなく、思い出にも残らない。出費はしっかりと多いのに満足度はそうでもない。消費者としての最大化ばかりを目指す生き方では、ストレスが減るだけで無条件で幸せになれないと思うのだ。

DIE WITH MAXでもいい

DIE WITH ZEROを目指す過程で、結果として資産が積み上がっていることのが理想かも知れない。つまり、出費を恐れて一生ケチケチして生活するのではなく、日々の生活を充実しているが資産はMAXになる。

「ケチケチしてMAXを目指す」ではなく「お金以外もMAX」という状態だ。お金以外の要素は人によって価値観は異なるが人生経験、感情をビビッドに動かすイベント、子孫繁栄なども含まれる。自分はこれをDIE WITH MAXと呼びたい。

資産の最大化しか眼中にない人間は、そもそも人生でやりたいことが乏しく、数字以外に誇れるものがない状態にある。本当のMAXとは、経験がMAX、挑戦がMAX、社会貢献がMAXであり、その結果として資産もついてくるという状態だ。

ZEROを目指す人生は、常に「減っていく残高」を眺めながら生きる人生だ。MAXを生きる人間は、残高など気にしない。実際のところ、どちらの人生が豊かかは、言うまでもないだろう。

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なめてくるバカを黙らせる技術」(著:黒坂岳央)

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。

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