ガンで死ぬのが最高の人生という考え方

内藤 忍

高校時代のクラスメイトと食事をする機会がありました。もうお互い60代ですから健康管理に気をつかう年齢です。

私が毎月血液検査をして年に一度は胃カメラや内視鏡検査をしていると話すと、彼は意外なことを口にしました。

血液検査は年一回やっているものの、人間ドックはこれまでまったく行ったことが無く、これからも行かないというのです。

その理由を聞くと初期のガンが見つからないようにするためとの説明です。

気がついたらガンのステージ4になっていて余命半年くらいになって、延命治療はせず痛みの緩和ケアだけして自然に人生を終えるのがベストだと思っていると言うのです。

ガンを早期発見するよりしない方が良い。世間の常識とは真逆の考え方に衝撃を受けました。

トンデモ理論に毒されたスピリチュアル系の無学な人と思うかもしれませんが、彼は医学に無知な人ではありません。国立大学の理系を卒業し博士号を取得。そしてアメリカのバイオベンチャーの創薬に関わっていたその道のプロ。私よりもはるかに深い医学に対する知見を持っています。

確かに心筋梗塞や脳卒中といった突発的な病気では終活の準備をする時間もなく、人生を終えてしまうことになります。

ガンのような徐々に進行する病気であれば、その間のクオリティー・オブ・ライフを保つことができれば、人生の終わりに計画的に時間を過ごすことができるのは事実です。

しかし、初期のガンを見つけられる可能性がある健康診断や人間ドックを全く受けないと言う選択は私には怖くてできません。

人生とは単に長く生きれば良いと言うものではありません。自分が納得できる人生を過ごし納得できる終わり方をしたいと思うものです。

人生の最後の時間を自分でコントロールすることができるガンという病気は過度に恐れるものではなく、かけがえのない大切な時間を与えてくれるもの。

感情的には納得できないものの、理路整然とした自分との人生の付き合い方に何だか清々しいものを感じてしまいました。

話を聞いているうちに健康年齢を少しでも長くすることを考えるだけではなく、自分の人生のエンディングを悔いなく過ごせる方法についても同時に考える必要があることを痛感しました。

AscentXmedia/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年5月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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