断崖絶壁に建つ山形・山寺”登山”詣で

充電器のタイプAとタイプC、間違えて持ってきて旅先で買いなおすことの多い、なおです。

5月中旬に出かけた山形。仙山線に乗ってやってきたのは山寺駅。山形にはもう何度も来ているのですが、初めての下車です。

民家やホテルが並ぶ通りの向こうに高く聳え立つ崖のような山。その山の上に建つのが立石寺。通称、山寺です。ご覧の通り山の中にあるためこの名がつきました。

山寺駅の注意書き。山の上の奥の院まで行く予定の方は時間をきちんと確保して出かけるようにしましょう。

駅から7分ほど歩いて立石寺の入り口に到着しました。普通の寺であれば「←参拝口」と書かれるべきところが「←登山口」となっているあたり、立石寺の参拝はすなわち登山だ、ということを示しています。

立石寺は860年、慈覚大師円仁によって建立された1160年余りの歴史を持つ寺院です。慈覚大師が砂金や麻布をもって山を買い上げて開山したといいます。このような断崖絶壁の山に寺を開いた理由は諸説ありますが、慈覚大師が国家の平安を祈願する拠点として、東北地方の厳しい大自然を修行の地に選んだためと言われています。

階段を登り、根本中堂にやってきました。立石寺の山全体の本堂にあたります。1356年に建立された。木造薬師如来を祀る歴史的建造物です。ここはまだ山の麓で無料で立ち入り参拝することができます。

立石寺を一躍有名にしたのは松尾芭蕉です。1689年に彼らが旅した奥の細道の道中で立石寺に立ち寄り参拝した際、残した名句が

閑さや岩にしみ入る蝉の声

でした。江戸時代末期に建てられた句碑が根本中堂の傍に残っています。

松尾芭蕉の石像に見送られながら、山の上にある奥の院までいってきます!

入山料は大人500円。ここからいよいよ奥の院への「登山」がはじまる。

森の中に続く石の階段。奥の院までは800段あまりの階段を登っていかなければなりません。石段一段一段登るたびに煩悩が消滅すると言われています。ただ私は階段上りきったらビール飲みたい!と思ったりしてなかなか煩悩が消えてくれませんでした。

途中、こんな大きな岩が転がっていて、その下にに地蔵が祀られている箇所があります。大きな岩、特に奇岩には神が宿ると考えられ、傍に地蔵を祀って崇めています。

奥の院まで続く修行者の参道の傍に聳える百丈岩。この上に五大堂などの立石寺の建造物が建ちます。駅から見たときもここだけ木が生えていない景色の異様さが目を引きましたが、近くで見るとその大きさと迫力に圧倒されます。

修行者の参道の中間にある「せみ塚」。松尾芭蕉が詠んだ先の句が書かれた短冊をここに埋めたと言われており、ここからその名がつきました。

この先まだまだ上に向かって伸びる階段。

はぁはぁぜぇぜぇ… 息切れしつつ、ときおり現れるお堂で小休止しつつ階段を登ります。

無の境地で階段を登り続けて30分ほどでついに奥の院に到着しました!山の中で涼しかったとはいえ、さすがにこれだけ歩くと汗だくになります。

奥の院は慈覚大師が中国で修行中に持ち歩いたといわれる釈迦如来と多宝如来を本尊としています。今の建物は明治5年の再建されたもので、修行者がここで写経を行う場となっています。

その隣に建つのは大仏殿。高さ5メートルの阿弥陀如来像が安置されています。やや小ぶりな大仏ですが、金色に輝いて存在感を放ちます。

奥の院から少しだけ山を下りたところにある三重小塔は岩窟の中に納められています。高さ2.4メートルというかなりのミニサイズ。室町時代に建てられたもので当時の聖建築の在り方を探る手掛かりとなる作品として注目を集めており国の重要文化財に指定されています。

奥の院の参拝を終えたあとは、五大堂方面へ。景色のいい石畳の道を歩いて向かいます。晴れていて気持ちがいいですね。

開山堂・納経堂は先ほど下から見上げた百丈岩の真上に位置します。開山堂は当寺を開山した慈覚大師を祀り、崖の下の自然窟に遺骸が治められています。命日である1月14日のみご開帳されるそうですが、季節は冬。夏以上に登るのは大変そうです。百丈岩の崖の際に建つ納経堂は奥の院で写経された法華経を奉納するために建てられた建物です。本来赤い建物なんですが、逆光になってしまってちょっと目立たないのが残念です。

開山堂の脇の階段を登ったところにある五大堂からは崖の下の集落を望むことができます。立石寺きってのダイナミックな眺望をが見られるビュースポットです。

山寺駅の景色も。あんなところからここまで登ってきたんだなぁ。と自分をほめたくなります。

帰路も木漏れ日に照らされて幻想的な雰囲気を醸し出す仏像や石碑を眺めながらゆっくり下山しました。初めての山寺・立石寺。登るのは確かに大変でしたが登った後に見られる厳かな寺院やダイナミックな風景に疲れもすぐに癒されました。これからは歩きやすい季節も迎えます。是非一度登っていただき、岩壁の上に開かれた寺院を訪ねてみていただきたいと思います。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2026年5月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。

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