シニアドライバーより自動運転の方がずっと安全

内藤 忍

Fabio Camandona/iStock

85歳のマイクロバス運転手が事故を起こし2名の犠牲者が出る事件が大きく報道されました。もともと運転技術に問題があったドライバーのようですが、運転手不足で採用せざるを得なかったという事情もあるようです。

今回の事故はそもそもドライバーに問題があった例外的な出来事かもしれません。しかし高齢者ドライバーによる事故は今後さらに増え社会問題化するのは確実です。

高齢者は免許を自主返納すべきだといった意見もありますが、そのような自主性に委ねているような悠長な状況ではないと思います。

地方の過疎地では公共交通機関が減便や廃止となっています。その結果、自宅からのアクセス方法が自家用車以外ない高齢者も増えています。運転免許返上して車の運転を止めたくても止められない事情があるのです。

高齢者の痛ましい交通事故をこれ以上増やさないための切り札が自動運転です。いや、高齢者に限らず自動車事故件数は自動運転で劇的に減らせると思います。

ところが日本では自動運転の話になるとすぐに「万が一事故が起きたら誰が責任を取るのか」といった100パーセントの完璧性を求める意見が出てきます。

客観的なデータを見れば人間が運転する際の事故率よりも自動運転システムによる事故率がすでに比較にならないほど低くなっています。高齢者になればその差は更に拡大します。

にも関わらず自動運転の話になるとゼロリスクを求め、メディアも1件事故が起きただけでニュースにして大騒ぎする。

日本においては、新しい技術がもたらすわずかな不確実性を過剰に恐れる傾向があります。この感情的反応はどうにも理解に苦しみます。

日本では人口減少による労働力不足に加え、高齢化が進み若年層の運転手不足はさらに深刻化します。

公共バスの運転手が待遇の良いタクシードライバーに転職しバスの運転手が不足していると言うニュースも聞きます。

また、長距離トラックのドライバーもドライバーの労働時間規制が厳しくなったことも相まって物流に影響が出る位の労働力不足に悩んでいると聞きます。

そんな中アメリカではテスラの自動運転システムFSDをベースにした自律走行車両の量産が始まりました。

室内のイメージ写真を見るとステアリングもペダルもありません(写真)。このようなサイバーキャブと呼ばれる車両がカリフォルニアやテキサスで当たり前になる日は遠くありません。

「アメリカでは~」と「出羽守(でわのかみ)」になるつもりはありませんが、2つの国のとてつもないギャップを見ると、国民性の違いだけではなく自動運転を阻止しようとする「見えない力」が働いている気がしてなりません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年6月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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