何年もEVについてつぶやかせていただき、その多くのコメントは否定的でありましたが、それでも時代と共に頭ごなしの否定から棲み分けへの理解が少しずつですが浸透してきているように感じます。一方、世界を見ればトランプ氏がアメリカでEV補助金をカットしたことでアメリカ主導のEVブームが沈静化していることもあり、EV、本当はどっちなの?という感じではないでしょうか?

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カナダはEV化の達成目標を先送りしながらも補助金を復活させています。こういう苦しい時期にはEV車を積極的に製造販売している企業が将来有利になるケースが多く、当地では圧勝だったテスラに陰りが見え、ヒュンデ/キアの普及率が伸び、GMとともにトップ争いになっています。日本勢は皆無であります。多分、私は日本勢は戦略を間違えていると思います。特にホンダはカナダに巨大工場を出すと言って無期延期をしていますが、あれは規模を縮小してでもやるべきだと思っています。
欧州は環境重視派が多いなか、EV売り上げは伸びており、一時期のテスラ バッシングも収まり、市場は確実に回復しています。そのトリガーの一つがイラン戦争による原油価格の高騰でガソリンがリッター300円となればやってられんと思う人は多いはずでEV販売が伸びるのも理解できます。
その中で日本ではBEV市場が育っていない様々な理由が上がっていますが、充電器の普及の遅れと充電目的以外の駐車違反が多いことはあるでしょう。つまり長距離を乗るには「心配だよね」になるわけです。一方、地方の足としても過言ではない軽自動車の場合、自動車各社の調査によると1日の平均走行距離は7-15㌔程度となり移動範囲は格段に狭いとされています。
その地方にとってもう一つの頭痛の種がガソリンスタンドの減少です。ガススタンドは1994年の6万か所から30年連続で減少、現在は27000か所(2024年)で年間約500か所ずつ減っています。その中でガソリンスタンドが一市町村の中に3か所以下の「SS過疎地」と称されるところは381市町村で日本全体の22%に上ります。特にガススタンドがゼロが11,1か所が97市町村となっています。これはEVの充電器がないという問題以上の話で、「クルマ買ってもガソリン入れに隣町に行くさ」になってしまうのです。
そこで着実に市場の組み換えが進みそうなわけです。日本で一番売れるBEVは日産サクラで年間2万台規模で一強状態。ここに今年から来年にかけて国内外各社入り乱れての大乱戦がはじまるのです。特に国内勢に対して注目されるのが中国のBYDと奇瑞汽車であります。
BYDの軽「ラッコ」は7月28日に販売されますが、注目は価格帯で現時点でまだ不明です。ただ軽のBEVの主戦場価格帯が補助金後の実勢で200万円前後。BYDは日本政府からの補助金が少なかったことを恨み節のように述べていましたが補助金適用後の販売実勢価格は相当頑張るとみています。と言うのはBYDは電池を含め、主力部品を自社内製を占めておりその利益率の高さは他者を寄せつけないため最後の砦とされる日本市場切り崩しに圧倒的な価格を提示する戦略を取らざるを得ないとみています。
もう1つが奇瑞汽車でオートバックスとアネスト岩田が組んで来年にも登場させるのが「EMTA(エムタ)」。この3社の組み合わせはなかなか強力で、奇瑞はEアクセル(電動パワートレイン)が独特でモーター最大効率が97%にも達するとされるとされます。一方、オートバックスは日本全国に1200店舗ありここを販売とメンテで利用するのでしょう。アネスト岩田は自動車塗装部門において日本人のこだわりである日本レベルの塗装を施したクルマにするのでしょう。このように特徴を並べるとなるほど、見たくなるな、欲しくなるな、と思わせます。
マーケティングの基本は高価格帯のものをマーケットリーダーとなる人たちが購入し、インフルエンサーとなることでアーリーマジョリティが育っていくのが教科書的発想でした。ところが日本のBEVはもともとが三菱が最初で次が日産で共に小さなクルマでした。ここが教科書的ではなかったのだと思いますが日本でも最近はテスラが珍しくなくなる中、EVが環境のためというSDG’s的なアプローチではなく、ごく普通に自動車の選択肢の一つに並んでいる時代になったのだと思います。
日本市場は変わり出すと猛烈な勢いで変化しますので軽自動車が変える日本の自動車産業とならないとも限らない気がします。個人的には中国国内でBEVの価格大戦争をやっている中で、BYDなり奇瑞が日本市場で成功でもすれば雪崩を打ったように中国メーカーが入り込む可能性があり、政府はQuotaなど一定の貿易制限の準備はしておかないと国内BEVが崩壊するリスクすらあるかもしれません。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年6月2日の記事より転載させていただきました。







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