「子育て支援金」が健康保険料への上乗せ開始、この先どこまで増えるのかな

吉澤 大

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なぜか健康保険料に加算される子育て支援の財源

子ども・子育て支援金制度は、「こども未来戦略」に基づき、少子化対策の財源を確保するために創設された仕組みです。

常識的に考えれば、少子化は全世代が解決すべき問題であり、そうであれば、その財源も全世代が負担すべき税金、例えば消費税で賄われるのが妥当でしょう。

しかし、いくら必要性が叫ばれる財源であっても、消費税の引き上げなど口にした瞬間、政権が大きく支持率を失ってしまいます。

そこで、どこか、目立たず、しれっと取れる財源はないかと目をつけられたのが、健康保険料という医療保険制度です。

一体、子育てと医療保険に何の関係があるんですかね。

もうどうにもならないですが、子ども・子育て支援金制度の概要についてまとめてみようと思います。

まずは結論を

  • 「子ども・子育て支援金」は、医療保険料に上乗せして全国民から徴収される新たな負担
  • 令和8年4月の保険料から徴収が開始されている
  • 国民健康保険の場合、令和8年度は1人あたり月額約250円の負担増
  • 会社員は労使折半だが、個人事業主は全額自己負担
  • 3年間で段階的に増額され、令和10年度には総額約1兆円規模になる

そもそも「子ども・子育て支援金」とは何なのか

子ども・子育て支援金制度は、「こども未来戦略」に基づき、少子化対策の財源を確保するために創設された仕組みです。

具体的には、「児童手当の拡充」「妊婦のための支援給付」「育児時短就業給付」などの施策に充てるとされています。

ポイントは、新しい税金ではなく、既存の医療保険の仕組みを使って徴収するという点です。

つまり、会社員であれば健康保険料の一部として給与から天引きされ、個人事業主であれば国民健康保険税(または保険料)の請求書に新たな項目として加わるということです。

これまで国民健康保険税は「医療分」「後期高齢者支援金分」「介護納付金分」の3つで構成されていましたが、ここに4つ目の「子ども・子育て支援金分」が加わることになります。

子ども・子育て支援金制度について|こども家庭庁

具体的にいくら負担が増えるのか

気になるのは、実際にいくら負担が増えるのかということでしょう。

国民健康保険の場合

支援金額(月額)は、お住いの市町村が定める条例に基づき、世帯や個人の所得等に応じて決定されます。

夫婦と子ども一人の世帯で年収300万円の場合、月に約650円の負担になるとされています。

会社員(被用者保険)の場合

協会けんぽや健康保険組合に加入している会社員の場合、令和8年度の支援金率は0.23%です。

標準報酬月額に0.23%を掛けた金額が支援金額ですが、これは労使折半なので、実際の自己負担はその半分になります。

給与収入が400万円の場合、追加される保険料の自己負担は月に384円とされています。

とはいえ、会社負担については、オーナー経営者であれば、実質的に自己負担と変わらないです。

また、会社員も、会社負担というのは会社側からすれば賃金の抑制要因になるので、従業員の負担となる部分も多いでしょう。

令和8年度の子ども・子育て支援金の額 試算|こども家庭庁

なお、これらの負担は、令和10年度まで引き上げられていくことがすでに決まっています。

社会保険料の「見えない増税」が続いている

ここ数年、社会保険料の負担はじわじわと増え続けています。

税金の増税であれば国会での審議やニュースで大きく取り上げられますが、社会保険料の引き上げは、目立たずそっと行われます。

今回もすでに4月から実施(給与からの天引きは5月分から)されているのに、それほど騒がれることはなく、むしろ、子育て世代には、恩恵のあるような報道も多いです。

これが、消費税の増税で行われていたら一体どれだけの反発がされたのでしょうか。

今回の「子ども・子育て支援金」が消費税の納税や新しい税金を作るのではなく、健康保険料に手を付けられたことは大きな意味があります。

制度との関連性など無視して、たばこ税同様、反対が少ないところから取ると言うことが顕著になる。

もう理屈なんか何だっていいんですよ。だって、誰も反対しないんだから。

実際にこの5月の給料から天引きされた健康保険料は上がっているはずなのに、まあ、穏やかなもんです。

そりゃ、次からも全く医療保険とは関係のない増税分も保険料に加算されていくことでしょう。

少なくとも、子ども・子育て支援金の負担額がドンドン大きくなるのは間違いない。なにせ、少子化は解消されないどころかドンドン加速しているのですから。

最初は「コーヒー1杯分」と言われた再エネ賦課金だって、導入から13年間で18倍にも増えてますからね。


編集部より:この記事は、税理士の吉澤大氏のブログ「あなたのファイナンス用心棒」(2026年5月23日エントリー)より転載させていただきました。

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