高市政権「補正予算で赤字国債出さない」と言ってたのに赤字国債3兆円を決定

高市政権は2日、2026年度補正予算案の全容を固めた。一般会計歳出総額3兆1135億円の全額を赤字国債で賄う方針である。3日に閣議決定し、国会に提出、5日に成立する見通しだ。

  • 高市政権は昨年秋の政権発足時、財政規律を最優先に掲げ「今年度内に補正予算は組まない」「赤字国債は絶対に出さない」と繰り返し公約していた。
  • しかし発足から半年余りでこの公約を事実上放棄した形となり、野党からは「当初から財政出動を視野に入れていた欺瞞」との批判が強まっている。
  • 過去の経緯を振り返ると、政権交代直後の2025年11月、高市首相は所信表明演説で「骨太の方針に則り、プライマリーバランス黒字化目標を堅持する」と明言し、赤字国債依存からの脱却を強調していた。
  • 2026年春には与党内からも「経済状況次第で柔軟に対応」との声が上がり始め、結局補正予算編成に傾斜した。
  • 財務省は歳出の多くを災害復旧や物価高対策に充てると説明するが、財源をすべて借金で賄うことは将来世代への負担先送りに他ならないとの指摘が相次いでいる。
  • 野党は「公約違反は政権の信頼失墜を招く」と非難し、予算委員会で徹底追及する構えだ。
  • 与党内でも「これでは前政権と何ら変わらない」との不満がくすぶっており、政権基盤に亀裂が入りつつある。

高市政権は財政健全化を看板に掲げて誕生したはずだったが、わずか半年で赤字国債大量発行に踏み切ったことは、政策の一貫性を欠いた典型例と言える。今後の財政運営がさらに緩み、国民負担が増大する懸念は拭えない。

高市首相と片山財務相 首相官邸HPより

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コメント

  1. 早川蒼真 より:

    この記事の問題提起は鋭い。
    この記事のように「赤字国債3兆円」という単体の数字だけを切り取って、ただちに「財政規律の崩壊」「将来世代への負担先送り」と断じるのは、少し粗い議論ではないでしょうか。財政を見るなら、絶対額だけでなく、GDPとの比率、前年度との比較、債務残高対GDP比、名目成長率、税収、金利負担まで含めて見る必要があります。今回の数字をその枠組みで見ると、2025年度・補正後の赤字国債/GDP比は約4.48%、2026年度・補正込みの赤字国債/GDP比は約3.76%です。つまり、補正で3兆円を積んでも、対GDP比では前年より低下する計算になります。

    さらに重要なのは、債務残高対GDP比です。2025年度の168.6%から、2026年度は165.5%へ下がる見通しです。
    財政の持続可能性を論じるなら、「借金が1円でも増えたら悪」という単純な家計簿論ではなく、経済規模に対して債務が膨らんでいるのか、縮んでいるのかを見なければなりません。債務残高対GDP比が低下する見通しの中で、今回の補正だけをもって「財政破綻へ一直線」と語るのは、かなり煽りが強いと思います。

    また、災害復旧や物価高対策のような支出は、平時のバラマキとは分けて考える必要があります。必要な対策まで「赤字国債だから全部悪」と切り捨てれば、かえって国民生活や経済を傷め、税収基盤を弱くする可能性もあります。財政規律とは、何でも削ることではなく、必要な支出と不要な支出を分ける能力のことだと思います。状況の変化に直面してもなお、当初の言葉に縛られて頑なに財政出動を拒むことが、必ずしも善とは限りません。

    野党がこの件を追及したくなる気持ちは分かります。かつて民主党政権は「予算を組み替えれば埋蔵金が出てくる」と期待を集め、結局「そんな都合のよい財源はないではないか」と厳しく批判されました。財源論の表面的なレトリックで耳目を集め、国家経済の実態が伴わなかった結果、ブーメランとなって自らに返ってきた。その過去があるからこそ、相手政権の財源論や公約違反に敏感になるのも理解できます。しかし、だからといって今回、赤字国債3兆円という見出しだけで攻めても、説得力は限定的です。むしろ、2025年度との比較、赤字国債/GDP比、債務残高対GDP比、金利負担、税収見通しまで並べたうえで、「それでもこの補正は必要なのか」「中身に無駄はないのか」と問うべきでしょう。

    結局、野党側に必要なのは、広い視野で数字を読む力です。財政を批判するなら、赤字国債の額だけでなく、GDP比、債務残高対GDP比、成長率、金利、歳出の中身を同時に見なければならない。そこを見ずに「公約違反だ、借金だ」とだけ叫ぶなら、国民からはまた「では代案は何ですか」と問われるでしょう。広い視野で数字を見られないままでは、与党奪還はかなり難しいのではないでしょうか。