自民党「安保3文書」改定提案の是非

「自国守る覚悟」防衛力変革へ予算増要請「GDP比3・5%」例示、自民総務会で提言審議  産経新聞

自民党は9日、党本部で総務会を開き、国家安全保障戦略など「安保3文書」の年内改定に向けた政府への提言案を了承した。米国が求める防衛費増額の数値目標は設定せず、国内総生産(GDP)比3~3・5%を掲げる各国の動きを例示。自国防衛の「国家意思」を明確に示し、「5年以内の防衛力の変革」に向けて主体的に予算を積み上げるよう求めた。

防衛費について、GDP比3・5%を目標とする北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国や韓国、3%を目指すオーストラリアを列挙。「自国を守る覚悟のない国を助ける国はない」と断じ、防衛力強化とその裏付けとなる予算の確保が必要とした。トランプ米政権は同盟国に対し、GDP比3・5%とするよう求めている。

GDP比率3.5パーセントなんて無理ですよ。自民党の国防部会は財務省の中庭に金の成る木も生えていると思っているのか。

GDPの2.6倍の債務を抱えて今後も少子高齢化は進みます。なのに、いまだにガソリン代補助とか、ばらまきを続けて円安を招いています。現状を続ければ円安はさらに進んでインフレになります。

そうなればGDPの55パーセントを占める個人消費は大打撃を受けます。実際に小売業、流通業の人たちに聞いても現在でも深刻な消費の減退が起こっています。これがさらに続けば影響は深刻です。

更に日銀は金利を上げざるを得ない。国債金利は上がり続けており、このまま続けば国家予算における国債費の割合は増え続けるでしょう。例えば国債費が予算の半分を占めてまともな国家運営ができるでしょうか。

しかも現状でも建設国債を5千億円以上防衛予算のために発行していますが、その一方で国策脱税で年に5千億円以上の税金が駄々洩れしている「ふるさと納税」を止めることすらしていません。

仮にGDP比率3.5パーセントに防衛費を上げても1ドル300円とかになれば、上げた分は全部円安で消えます。現状でも増やした防衛費は海外装備あるいは国産装備も多数の輸入コンポーネントの値上がりで相殺されており、需品に回る金もない状態です。

端的に申してGDP比率3.5パーセントは画餅です。そんな白日夢より、ばらまきを是正して、財政基盤を整えて円安進行を止めるべきです。

そもそもGDP比2パーセントだって安倍晋三の妄言に過ぎなかった。国債で軍拡して金の使い方は増やしてから考ろ、ですから。まともな政策ではありません。

その一方で現実的な提案もあります。

自衛隊の地方司令部削減、自民党が提言 反撃能力の意思決定迅速に 日本経済新聞

自民党は9日、安全保障関連3文書の改定に向けた提言を了承した。陸海空3自衛隊で各地の部隊をまとめる「中間司令部」の削減を提起した。相手の攻撃拠点をたたく「反撃能力」の意思決定を迅速にする狙いがある。

自衛隊の中間司令部を削減するよう提唱し「少ない結節により陸海空自衛隊が有機的に行動できる組織構造を実現すべきだ」と主張した。

特に問題は陸自方面隊です。

例えば東北方面隊は諸外国ならば旅団クラスでしかない、2個師団で「軍」を僭称しています。詐欺です。

方面隊は全廃して、既存の師団旅団は全部旅団に統一、そのうえで旅団の上級部隊として師団にすればいい。師団数は3〜5個程度で、うち一個は緊急展開師団で空挺団、水機団、特戦団、第一ヘリ団などを含める。旅団の規模を拡大して、普通科に大隊を創設して、普通科連隊を「本当の連隊」にして連隊数を減らす。

併せて陸自の定員を10万人程度に減らして、駐屯地や施設も大幅に統合する。これをしないと人手不足は解消しません。現状でも新設部隊を次々に編成しているのに、既存の部隊を潰さずに、要員だけ抜くから「骨粗鬆症部隊」ばかりになっており、有事に役に立ちません。

高市首相 自民党HPより

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編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2026年6月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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