高市首相はなぜイギリスで冷遇されたのか

高市早苗首相の初の欧州歴訪は、G7サミットに先立つ外交デビューの大舞台だった。しかし最初の訪問国となったイギリスでは、「冷遇されたのではないか」といわれている。ロンドンに到着した際、公式歓迎式典もレッドカーペットもなく、出迎えたのは乗務員だけだった。なぜ高市氏は冷遇されたのか。

サッチャーのきらいなスターマー首相にサッチャーファンを自認

今回の訪英は「国賓訪問」ではなく、G7直前の実務訪問だった。つまり、王室行事や大規模な歓迎式典が組まれる性格の訪問ではなかった。英政府の発表も、儀礼より投資、産業、雇用、安全保障を前面に出している。歓迎の華やかさより、英国経済への利益を強調する演出になった。

高市首相の対中強硬イメージも影を落とした。スターマー政権は対中関係の再調整にも動いており、習近平氏の訪英可能性まで取り沙汰されている。高市氏は公式別荘「チェッカーズ」への招待を断り、サッチャーぎらいで有名なスターマー氏に対して「サッチャーのファンだ」と公言するなど、デリカシーがなかった。


サッチャー首相への思いを語る高市首相(首相官邸)

日本はもうイギリスと同格の大国ではない

スターマー政権にとって最大の関心は「日本との友情」ではなく、「英国への投資」と「雇用創出」だった。英政府発表は、日本との関係を語りながらも、中心には英国産業、インフラ、洋上風力、金融サービス、技術開発への投資が置かれている。

かつて日本の首相訪問は、先進国クラブの一員としての儀礼的な意味が大きかったが、日本は今やそれほど重要な国ではない。イギリスは日本を歓迎するが、それは友情のためだけではない。防衛技術、投資、エネルギー、サプライチェーン、対中戦略に使える相手として見ている。

高市首相にとっても、これはきびしい外交デビューだった。レッドカーペットがなかったことより重要なのは、日本が不可欠な国だと思われるかどうかである。今回の英国訪問は日本外交の現実を映す、きわめて象徴的な場面だった。

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