38歳バイトが女子大生に恋して炎上!何が悪かった?

黒坂岳央です。

38歳アルバイト男性がバイト先の女子大生への恋心を投稿し、炎上した。

投稿主を見ているとその文体から性格が優しい人なのだと感じる。筆者は投稿主を批判するつもりは一切ない。誰でも思い焦がれる事自体は自由であるし、それを他者が批判するべきではない。

本稿はあくまで社会科学の観点から「何が火種だったのか」ということを分析し、言語化にチャレンジする意図を持って書かれた。

批判されているのは年齢ではない

多くの人が指摘する「年齢を考えろ」「もう父親の年だ」というのは妥当な批判か?これを考察する。

投稿主のプロフィールを見ると、アルバイト、彼女いない歴=年齢、コミュ力なし、趣味なし、友達ゼロ、対人恐怖症。これを自ら公開した上で「20代前半の女性を好きになったらダメか」と問うている。

「正社員になって彼女を作りたい」、自分がこれを見て感じたのは「20代前半で精神年齢が停止している」ということだ。これは一般的に20代前半で持つ「若い感覚」である。

もちろん、投稿主にこの点をダメだしをするつもりはない。人にはそれぞれ人生のペースがあり、自分自身も遅咲きスタート側だったので人のことは言えない。ではこの場合の問題とはなにか?それはキャリアと精神が年齢相応ではない点だ。

年の差婚が絶対に不可能とは言わない。ここでの最大のファクターは年齢より「実年齢相応のキャリア」である。

筆者の親戚に年の差カップルが2組いる。一人は女子高生の時に20歳年上の男性と交際スタートして成人後に結婚、もう一人も10歳以上年上の男性と結婚した。SNSでそのまま出すと叩かれそうなステータスだが、実際そうではない。

この2組、実は共通点があって、いずれも相手は大企業のエリートキャリアだった。親も反対しなかったどころか、「いい男性と結婚できてよかった」と喜んでいた。現在は2組ともにかわいい子供がいる。このケースについて言えば、男性側に「年の差ハンディを上回る社会的地位と精神力」があったので何も問題にはならなかった。

世の中を見渡せば似たようなケースは多い。映画俳優、芸能人、スポーツ選手が年の差婚をしても炎上しない。叩くのは嫉妬に狂った人たちくらいで、彼らは「お似合い」だから叩かれない。

今回問題になったのは「お似合い」と思われなかった点にある。

38歳バイトが下剋上する難しさ

「正社員になって幸せにしたい」と投稿主はいった。この意欲自体は素晴らしいことだ。自分は38歳からの正社員挑戦を否定するつもりはなく、遅咲きの努力は尊重したい。

キャリアへの意気込みだけなら美談だが、今回は冷静にその延長線上の結婚まで見据える必要がある。38歳からキャリアを目指しても、企業がその年齢の新入社員をファーストトラックに乗せることはまずない。もちろん、正社員にはなれるだろう。だがエリートキャリアとの差は現実的に埋まらない。

そうなると20代前半の女性が「これから伸びる人」として38歳を評価する可能性は極めて低い。これは若い女性の将来の可能性との釣り合いが取れなくなる大きなファクターである。

先ほど述べた通り、年齢差を埋めるにはプラスアルファ要素が必要であり、その積み上げには時間が必要だが、38歳バイトから正社員という枠では、年齢相応のキャリアへのキャッチアップは現実的に厳しいと言わざるを得ない。

年の差恋愛を成立させた男性たちは、若い頃から積み上げてきたキャリアと経済力を結婚の時に持っていたのでゴールインした。38歳ゼロから積み上げてもその差は縮まらないだろう。

炎上した最大の原因

「年下を狙うな」という理由で炎上したように思われるが、筆者は別の見方をしている。それだけなら「他人の事情に余計なお世話」で片付く。問題はそこではない。

昨今、ガールズバーや職場で、交際や好意を断られた男性が女性を襲う事件が繰り返されている。「自分はいける」という認知のズレが悲劇の引き金になるケースは後を絶たない。今回の投稿はそのシグナルに近いものを含んでいたのだろう。

もちろん、投稿主のポストを見る限り、優しい性格で反社会的な匂いはしない。だが、件の事件はいずれも「普通の男性」がガチ恋をして狂った結果である。

そう、恋心は時に普通の人を狂人にしてしまう力がある。若い頃にある程度恋愛を経験すれば制御もできるが、投稿主はそうではないように思えるため、負のシグナルが炎上の火種になった可能性は否定できない。

正直、自分は叩かれている投稿主を気の毒に思う。だが、もしかしたらこの経験は本人にとって悪くない処方箋かもしれない。なぜなら本当の残酷さとは、絶対勝ち目のない状況に「あなたにもチャンスがある」と言い続けることだからだ。

これはそれとは真逆だ。自分が同じ立場なら早く現実を知りたいと考えるだろう。市場の答えは残酷だが正直ではある。早めに現実を知ることで38歳からでも次の一手はあるだろう。

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なめてくるバカを黙らせる技術」(著:黒坂岳央)

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。

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コメント

  1. 八重垣 創 より:

    > 本当の残酷さとは、絶対勝ち目のない状況に「あなたにもチャンスがある」と
    > 言い続けることだからだ。

    この決めつけが良くないです。

    原因は日本の定年制に根差した硬直化した職業観が日本人の間に蔓延しているせいです。

    サラリーマンだけが職業ではないんです。

    職業全体を見渡せば、たとえば作家の柴田錬三郎みたいに30代後半まで紆余曲折して
    冷や飯を食い、39歳で「眠狂四郎」で大当たりした人もいたわけです。
    最近朝ドラで扱われた、やなせたかしや水木しげるも同様に大器晩成です。

    もちろん、このフリーター氏にも年齢をモテない言い訳にしてしまった隙はあったの
    でしょう。
    しかし、それは本稿の著者様にも同じことが言えるのではありませんか。
    「38歳アルバイトだから絶対に勝ち目がない」という発想そのものが、年齢によって
    人間の価値や将来性を評価する職業観に縛られているように見えます。

    定年制に根差した硬直化した職業観、それによる年齢の蔑視は、学校制度と同じく、
    とりもなおさず明治以来の軍隊の発想でしかないということに、そろそろ気付きませんか?
    我々は戦前をちっとも克服できていないのです。

    制度に従うのは仕方がない面もあります。
    しかし、自分の価値観すらそれに委ねてしまうのは無責任というものではないでしょうか?

    その点ではフリーター氏も潔くなくて、年齢を言い訳に女子大生と平場で対峙しようとしていない。
    しかし、一方で本稿も、自ら依拠している価値観を相対化・客体化することなく、
    それを自明の前提として論を組み立てているように見えます。

    おそらく、その旧態依然とした価値観は我々日本人の民族性との親和性が極めて高いのでしょう。
    私も含め、日々注意深くならねばならないと思います。