「晩節を汚したい」と思うシニア富裕層はいない

内藤 忍

「欲のない成功者と付き合え」とアドバイスされたことがあります。人生で成功を掴み富裕層になったシニアと付き合うべきということです。

JGalione/iStock

若い頃は成功に向けて懸命に努力し、時にはコンプライアンス的に問題があるようなグレーな仕事にも敢えて関わったかもしれません。

しかし、年齢を重ねて経済的に豊かになり社会的な地位も手に入れると、無理をしてまで経済的にさらに豊かになろうという気は無くなっていきます。

むしろ、さらにリスクを冒してこれまでに築き上げてきた自らの名声や信用に、最後の最後で傷がつくことを避けたいと思うようになります。

「晩節を汚したい」などと考えているシニア富裕層は存在しないのです。

これは仕事や投資において誰と付き合うかを考える際の大事なヒントとなります。

例えば仕事を一緒にするのであれば、若くてギラギラとした野望に燃えている人よりも既に成功しているシニアと付き合った方が信頼できる可能性が高まります。

あるいは不動産のような投資商品についても既にその業界でそれなりの地位を築いている年配の人から購入すれば、若手のやり手営業マンから購入するより失敗の可能性が低くなると考えることができます。

私自身も不動産のような実物資産に関して投資のアドバイスをすることがありますが、自分が本当に良いと思わない限り投資対象を誰かに紹介しようとは思いません。

割高なものや粗悪なものと知っていながら誰かに紹介して、将来そのことで恨みを買ったり評判を落とすようなことをしたくないからです。

自分で買おうと思ったり自分の家族や友人に自信を持って勧められるものでなければ、例えビジネスとして魅力的なものであっても関わろうとは思わないのです。

でももし私が20代や30代で上昇志向の塊だったらどうでしょうか。今と同じような意思決定ができたかどうか自信がありません。もしかしたら手数料の高い粗悪な商品を目をつぶって販売していたかもしれません。

晩節に関しては不思議なことに名経営者と言われ大きな成功を収めたにも関わらず晩節を汚してしまう人が少なくありません。

これはどこまで成功しても若い頃に持っていたような欲を捨てられなかったことが理由ではないでしょうか。

晩節を汚さないためには、それまで持っていた欲をどこかで捨てる勇気が必要なようです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年6月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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