黒坂岳央です。
世の中には、「この人とは話が通じない」と感じる人間がいる。これには年齢も性別も関係ない。特定の年代や人種に関係なく存在する。
SNSで専門家に根拠なく噛みつく人。
周囲の人間から搾取しか考えないテイカー。
自分を悲劇の主人公と考えて、被害者意識MAXな人。
陰謀論にのめり込み、「世界中が騙され、本当の真実を知っているのは自分だけ」と本気で信じる人。
一見するとバラバラに見えるが、彼らにはある一つの共通点がある。それは本人が「自分こそまともで周囲が異常」と信じていることだ。だが現実にはこの真逆であることが多い。
彼らには会話が成立しない。こちらが数字を示そうが、論文を見せようが、専門家の見解を提示しようが意味がない。最初から「自分が間違っている可能性」を否定するのでお手上げである。
お断り:本稿は精神疾患について論じるものではない。医学的な診断とは無関係だ。ここでいう「頭がおかしい」とは、自分の認知と現実が大きくズレているにもかかわらず、そのズレを修正できない状態を指している。

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おかしな人ほど、自分を疑わない
この現象を説明するキーワードが「メタ認知」である。要は「自分を客観視する能力」のことだ。
子どもは本気で「自分はヒーローだ」「魔法使いだ」と思う。しかし成長すれば、自分と現実との距離がわかるようになる。大人が「実は自分は魔法使いだ」などと言い出したら、周囲は心配するだろうが、そんな人をめったに見ないのはメタ認知があるからである。
だが、この自分を客観視する能力は個人差が大きい。加えてメンタルだ。つまり、能力として持っていても、「自分のズレを認めたくない。見たくない」はあり得る。
そして彼らは自分ではなく、周囲を自分に都合がいいように変えようとする。自分を正しいと疑わないから修正しない。修正しないから、ますます「自分は正しくて周囲がおかしい」という確信が強くなる。
自分を一番疑わない人ほど、ドンドン現実から遠ざかっていき話が通じないモンスターになる。
自己修正ではなく自己防衛をする
人間は生きていれば誰しも間違いをする。もちろん、筆者自身も間違いだらけであり、毎日のように「これは気をつけねば」とたくさん反省しながら生きている。
自分が見ている世界は常にズレており、市場を正と考える。市場がNOといえば自分を変える。逆に自信がない局面でも、市場がYESと言ってくれるならそれに乗っかる。筆者はこのスタンスで仕事をしてきた。
当然、間違えれば指摘が入ることもある。誰しも、自分が批判されれば気分は良くない。だが「自分のここは悪かったかもしれない」と考えるものである。仕事で失敗すればやり方を見直し、テストの点数が悪ければ勉強法を変える。現実から返ってきた結果を見て、自分を修正する。この連続で人間は成長する。
ところが、認知と現実がズレている人は「自分は間違っていない。間違っているのは周囲」という強固な思い込みがあるので、周囲からの批判や指摘を脳内変換する。持っているリソースはすべて、自分の正しさの証明に使われる。
批判されれば「自分は嫉妬されている」。結果が出なければ「環境が悪い」。評価されなければ「会社に見る目がない」。議論で負ければ「相手が理解できないだけ」。
つまり、現実から返ってきたフィードバックが、自分を修正する材料ではなく、自分を守る材料になっているのだ。
その結果、現実とのズレは縮まるどころか、年齢とともに広がっていく。周囲はどんどん距離を置くようになり、周りの塩対応に「自分は普通に生きているのに周囲が意地悪」という被害者意識だけが強くなる。
また、付き合える人材も似たような水準になるので、「自分以外に周りにまともな人がいない」という感覚に陥るのだ。
まともな人ほど、自分を疑っている
逆説的だが、認知が健全な人ほど「自分は間違っているかもしれない」と考える。筆者は自分を「まともな人間」と弁護するつもりはないが、仕事柄自分を客観視せざるを得ない環境に身をおいており、「自分はまだまだ成長が必要で間違いも多い」と反省しながら生きている。
これは自信がないという意味ではない。自分の脳には限界があることを知っているからだ。だから、正しさを「自分」に置くのではなく、市場に置く。昨今、誰も「ここがダメだよ」と指摘しない社会になってきているが、市場は違う。冷酷に価値を評価し、結果を突きつける。
自分が良かれと思ってやった仕事が評価されない場合は、「理解しないお客が悪い」ではなく「自分が悪い」のだ。仮に本当にいい仕事して理解されないなら、それは相手に理解できる形で届けられなかった自分が悪いと考える。そうしなければ、仕事が干されて「いらない人」になる。それは何より自分自身が大変困る。
だから仕事で結果を出すような人は、自分のプライドなどよりも「仕事で結果を出す」ということを常に重視する。そのためには必要なら自分を批判することはいとわない。その度にズレも修正される。結果、価値観は違うかもしれないが、少なくともロジックは通じる人間でいられる。
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一般的には「自分を変えられる人は元から頭がいい」と思われがちだが自分はここを疑っている。そうではなく「自分を変える強さを持っている」というメンタルにあると考えている。
高学歴でもズレている人はたくさんいる。むしろ、賢さを自己弁護に活用してしまう人すらいる。おかしい人は知能指数が低いというより、メンタルがダメなのである。
「自分は間違っているかもしれない」という疑いを排除せず、ズレを常に是正できるのは強い人であり、社会性を保つ気概のある人だ。メンタルが健全でなけれあれば、元の知能がどれだけ高くても年を取るほどズレ続けていく。
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