ロシア、燃料不足解消のため備蓄を放出

ロシア国営通信社によると、ロシア大統領府は現在、不足する燃料の輸入の可能性を真剣に検討を始めている。ロシアは世界有数の資源大国だがウクライナのドローン攻撃を受け国内の複数の石油精製所などが攻撃され、現在ガソリン不足などが深刻となっている。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は先月30日、相手側との間で納得できる価格で合意できれば、輸入が実施されることもあり得ると示唆している。

国内市場への燃料供給に関する会議を開催したプーチン大統領、クレムリン公式サイトから、2026年6月28日

クレムリンで先月28日、「国内市場への燃料供給に関する会議」が緊急開催されたが、会議では、自動車所有者、企業、事業体、および社会的に重要な機関への燃料供給が途切れなく確保できるための措置について協議が行われた。

同会議の参加リストを見ると、プーチン大統領を筆頭に、デニス・マントゥロフ第一副首相、アレクサンドル・ノバク副首相、アンドレイ・ベロウソフ国防相、アントン・アリハノフ産業貿易相、アンドレイ・ニキチン運輸相、マクシム・レシェトニコフ経済発展相、アントン・シルアノフ財務相、セルゲイ・ツィヴィレフ・エネルギー相、セルゲイ・ソビャニン・モスクワ市長に加え、ヴァギト・アレクペロフ(ルクオイル株主)、ウラジーミル・ボグダノフ(スルグトネフテガスCEO)、アレクサンドル・デュコフ(ガスプロム・ネフチ取締役会会長兼CEO)、アレクセイ・ミллер(ガスプロム取締役会会長)、イーゴリ・セチン(ロスネフチ取締役会会長、大統領直属「燃料・エネルギー部門の発展戦略および環境安全に関する委員会」執行書記)、ニコライ・トカレフ(トランスネフチ取締役会会長兼社長)らが出席した。その顔触れを見ても、国内の燃料供給状況がいかに深刻かが窺い知れる、というものだ。

ぺスコフ報道官によると、会合は市場の安定化に向けた新たな一歩であり、パニック買いの回避が目的だという。ノバク副首相も以前、燃料の輸入を対応の一つとして挙げていることから、輸入は現実的な選択肢と受け取られている。

プーチン大統領は最近、ウクライナによるドローン攻撃、特にエネルギーインフラを標的とした攻撃に起因する国内の困難な状況を認めている。同大統領は、「一定の不足は見られるものの、危機的な状況ではない」と述べている。

ところで、ロシアの石油精製所に対するウクライナの攻撃は次第に大きな影響を及ぼしており、モスクワやサンクトペテルブルクといった都市部でもガソリン不足が生じている。ウクライナのドローンは主要都市を含むエネルギー施設を標的とし、ロシア領内の深部、さらにはウラル地方にまで到達している。

ドイツ民間放送ニュース専門局NTVは30日、「キーウのドローン攻撃の影響でロシアの主要製油所トップ10のうち、無償なのはわずか2か所のみ」と大きく報道していた。それによると、「ウクライナによる石油精製所へのドローン攻撃は、ロシアを深刻な燃料危機に陥れている。最大規模の施設10カ所のうち、ほぼすべてが少なくとも一度は攻撃を受けており、被害を免れているのはウラル山脈以東にある2カ所のみ。しかし、それらの施設でさえ安全とは言えない」という。

ロイターの報道によれば、ヴォルゴグラードにあるルクオイル社の精製所は、年間1,400万トン以上の石油を処理し、ロシアの総精製能力の5パーセント以上を占める施設だが、これまでに少なくとも10回の攻撃を受けている。

ウクライナ軍のドローンがモスクワの石油精製所を攻撃し、黒煙に包まれた首都圏の様子を捉えた写真が世界中に拡散されたばかりだ。同写真は世界を驚かさせたが、それよりもモスクワ市民が最も衝撃を受けたのではないだろうか。

全国のガソリンスタンドで長い列ができている。多くの地域で燃料の販売が制限されており、例えばトランスバイカル地方では週あたりの上限が15リットルに設定されている。

2014年に併合されたクリミア半島は現在非常事態が宣言されており、ガソリンの供給はQRコードを用いたデジタル・バウチャー(引換券)のみに限られており、週あたりの上限は20リットルとなっている。国内最大の石油精製所を擁するオムスク地方でさえ、携行缶などへの燃料販売が禁止され、1回の給油量も40リットルまでに制限されている。

NTVのウラジーミル・ジガチョフ記者は「クレムリン(ロシア政府)は現在、ガソリンの輸入やディーゼル燃料の輸出禁止といった措置さえも検討している。多くの人々にとって長らく抽象的な概念に過ぎなかった戦争が、今やガソリンスタンドや物価高騰、さらにはロシア国内への直接的な攻撃といった形で、日常生活において現実味を帯びてきている。こうした圧力が政治的な事態の変化につながるかどうかは現時点では不透明。しかし、ウクライナが戦争をロシア国内に持ち込む方法を見出したという点は明らかだ」と述べている。

プーチン大統領は先月28日の会合で、「現在備蓄を取り崩しているものの、ロシアのガソリン備蓄量は、2025年の同期間とほぼ同水準だ」と説明していたが、エネルギー省のデータによれば、現在のガソリン備蓄量は170万トンで、前年同期比で4%減だ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年7月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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