維新の法案を犠牲にして皇室典範改正案を通そうとする麻生氏の執念

国会最終盤で、与党内の優先順位をめぐる対立が表面化している。焦点は、副首都法案と衆院議員定数削減法案、そして皇室典範改正案である。

自民党と日本維新の会は、衆院議員定数削減法案と副首都法案の審議を進めようとしている。いずれも維新が連立入りの際に強く求めた看板政策であり、維新にとっては今国会での成立が連立参加の成果になる。

毎日新聞

「副首都と定数削減より皇室典範」という森議長

ところが、ここに待ったをかけるような動きが出た。森英介衆院議長が与野党幹部を集め、国会正常化を呼びかけるとともに、政府提出の皇室典範改正案を最優先で取り組むよう求めたのである。TBSも、森議長が皇室典範改正案の成立を最優先にすること、与党に集中審議や党首討論への努力を求めたことを報じている。

この議長あっせんは、表向きは国会正常化のための調整だが、実質的には副首都法案と定数削減法案の優先順位を下げ、皇室典範改正案を先に通すための政治的布石に見える。その背後にいるとされるのが、麻生太郎副総裁である。

麻生氏は皇室典範の改正に執念を燃やしてきた。自民党の国民大会でも、麻生氏は「皇族数の確保は先送りにできない喫緊の課題だ。今国会中に改正を成し遂げなければならない」と訴えていた。 また6月18日にも、皇室典範改正について「何としても今の国会で成案を得なければならない」と重ねて強調している。

皇室典範の改正を国会の駆け引きに使う自民党

今回の国会空転は、もとはといえば高市首相が「中傷動画」にからんで答弁拒否を繰り返したため、野党が副首都法案や定数削減法案の審議を拒否したものだ。それなのに維新の法案を犠牲にする自民党に維新も不満を強めている。

維新の藤田文武共同代表は、法案審議の日程を議長の影響力で差配することへの懸念を示し、定数削減法案と副首都法案を今国会で成立させるべきだと強調している。 維新から見れば、麻生氏の都合で連立合意の目玉が犠牲になるのは納得できないだろう。

この背景には、与党内の対立もある。高市首相が維新との連立維持を重視する一方、麻生氏ら党幹部は皇室典範改正を最優先し、さらに国民民主党との連携も視野に入れている。麻生氏の周辺は「維新の議員立法より内閣提出法案が優先だ」というが、憲法の根幹にかかわる皇室典範の改正を国会最終盤の政治日程の駆け引きで処理するのはいかがなものか。

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コメント

  1. 早川蒼真 より:

    記事の指摘は鋭い。

    1. 制度上の課題を「一人の政治家の執念」に還元しすぎている。

    麻生氏がこの議論に深く関わってきたのは事実です。
    しかしそれは「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会長」という役職に基づくものであり、背後で議長を動かしているかのような描写は根拠が皆無。
    皇族数の減少は、現行典範が皇位継承を男系男子に限り、女性皇族は婚姻で皇籍を離れるという制度構造から必然的に生じる、かなり以前から指摘されてきた課題です。それを「麻生氏個人が作り出した思惑」であるかのような主張は
    なんだかなぁと思います

    2. 議長のあっせんを「布石」と断じるのは飛躍がある。

    報道を確認すると、森議長は皇室典範改正を最優先とするよう求めた一方で、定数削減法案・副首都法案についても「互譲の精神で協議」を促し、与党側には集中審議や党首討論への努力も求めています。つまり、国会正常化のための包括的な調整です。それを切り取って「維新法案を犠牲にする麻生氏の工作」と読むのは、印象操作に近い。

    3. 皇室典範改正を「自民党だけの都合」に矮小化している。

    衆参正副議長の取りまとめでは、女性皇族の婚姻後の身分保持案と旧11宮家男系男子の養子案を基に、立法府として法制化を求める経緯が整理されています。令和4年以降、全体会議や各党・各会派からの意見聴取が重ねられてきた。「突然出てきた法案を最終盤に押し込んだ」かのような書き方は間違いです。

    4. 批判の「目線」が一方にしか向いていない。

    自民党が皇室典範を急ぐのは問題だが、維新が副首都・定数削減を急ぐのは当然――という書き分けは、明らかにバランスを欠いています。加えて、国会空転の原因を高市首相の答弁問題だけに帰し、それを理由に全法案の審議を止めた野党の審議拒否という戦術の是非を一切問わない構成も、なんだかなあと思います。
    音声切り貼り加工動画ばれて文春は動画削除してますよ。結局嘘の話で大騒ぎしてただけ。