原油安に安堵せずにエネルギー政策の見直しを進めよ

イラン戦争の実質的終結により原油価格が下がっています。その上、アジア諸国を中心に今までの在庫減を埋めるべく大幅な一時的需要増に陥る一方、供給側にも一種の価格競争が生じており、サウジアラビアが打ち出した8月分の公式販売価格はバレル当たり1.50㌦の値引きをオファー、7月比11㌦も下がっています。ただ、この需要増は各国の貯蔵分が埋まるまでの話でそれが終われば元に戻るので原油価格はいずれバレル当たり70ドル台で安定してくるとみています。

高市首相 首相官邸HPより

ただ、原油輸入国は忘れた頃に起きるこの中東の不安定な政治に何度も振り廻されてきています。そして我々は「そうだ、化石燃料から再生可能エネルギーに転換するべきだったのだ」と振り返るわけです。

日本の電気自動車への補助金が尋常ではないレベルになっています。東京都にお住まいの方の場合、国と東京都の補助金をダブルで受け取れるので日産サクラだと最低価格56万円からゲットできるのです。こんな値段、80年代の軽自動車価格でも実現できなかったと記憶しています。東京都の大盤振る舞いはたぶん小池百合子都知事の化石燃料からの脱出、SDG’sを忠実に守り続けているのが背景かと思います。例えば25年4月から東京都で建築する一定基準の戸建ては太陽光パネルの設置が義務付けられています。導入当時はやりすぎとの批判もあったのですが、設置の義務を一定規模以上の住宅事業者にしており、住宅発注主ではない点で衝撃を抑えたのが上手な政策だったと思います。

ただ政府にしても東京都にしてもクルマ本体にいくら補助金を出しても充電設備が充実しなければ爆発的展開は出来ません。当地、バンクーバーで行ったように駐車場業者に充電設備の導入を進めさせることが次の重要な一手になってくると思います。東電と駐車場の地主、そして駐車場の運営会社が三位一体となったパッケージディールをすることで充電機不足に対する不安感を除去することが重要でしょう。

電源ミックスについては原子力をどうするか、この議論がまだ深まってきません。従来型の原子力発電所は古い設計思想で日本で今後、それが建築される可能性は低くなってきており、小型原発SMRが今後の主流になるのはほぼ確定的であります。ロシアと中国にはSMRらしきものはありますが、世界標準型ではなく、2030年ごろにカナダで完成する日立とGEの合作「BWRX-300型」がそれを担うとされ、世界の目が集まっています。日本も非常に注目しており、その稼働状況をみて国内展開するような様子見スタンスにあります。

日本政府レベルではSMRを今から10年後の30年代中盤から後半に実用化させる計画になっています。小型原発なので工期は短く、費用も安いので例えばAIでデータセンターの需要が大きいところに設置するなどアメリカのように電力消費に合わせた発想ができればよいのですが、実情はほぼ不可能であります。例えば千葉県の印西市周辺にはデータセンターが集積していますが、そこに小型SMRを作るのは住民がそばに住んでいるために不可能であります。

日本の場合は人がバラバラとあちらこちらに住んでおり、人が共住していないエリアが少ないのが何点であります。私が以前から指摘しているコンパクトシティ化が進めばそれも可能ですが、印西市のように都心にも近いベッドタウンにいくら地盤がしっかりしているとはいえ、データセンターがなぜにょきにょき出来ちゃったのか、都市計画上は大いなる疑問が残ると言わざるを得ません。このあたりの全体プランの構築が日本は下手で、政府と地方自治体がバラバラなところを修正していかないとエネルギー政策の見直しどころではないとも言えそうです。

化石燃料については日本はアンモニアの混焼分野において世界で圧倒的立場にあります。4-5年前、それを国際会議などで説明しても欧米各国から「はぁ?日本は何、寝ぼけたこと言ってんの?」で取りつく島もありませんでした。ですが、日本の技術革新は着実に進んでおり、世界に有り余る安価な石炭を有効に使えるようにできれば日本は敵なし、という立場も作れるでしょう。

エネルギー政策については従来型の発想から大きく転換させ、世界の中で日本独自のプランを立ててもよいと思います。そのためには国民に十分啓蒙すること、そして、しっかりしたプランでまず、国内で最適な電源ミックスを実現させることで世界がうらやむ国になるように努めるべきだと考えています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年7月7日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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