20年粉飾の全東信破綻、キャッシュレス社会に走る衝撃

大阪市のクレジットカード決済代行会社、全東信が7月6日、大阪地裁に自己破産を申請した。負債額は当初、2025年3月期末で約1259億円とされ、その後、申請時点では約1151億円と報じられている。いずれにしても今年最大規模の倒産であり、飲食業界や地域金融機関に大きな波紋を広げている。

飲食店を支えた早期入金サービス

全東信は、飲食店などの加盟店に対し、クレジットカード会社からの入金を待たずに売上代金を先行して支払う決済代行サービスを展開していた。キャッシュレス決済が広がる中、資金繰りに苦しむ飲食店にとって、売上を早く現金化できる仕組みは魅力的だった。しかし、コロナ禍による飲食店の休業・時短営業で加盟店獲得が難しくなり、経営は悪化。さらに2024年には、不正な加盟店契約をめぐって社員らが逮捕され、信用不安が一気に表面化した。

20年以上続いた粉飾疑惑

より深刻なのは、同社で20年以上にわたり粉飾決算が続いていた疑いがあることだ。預金残高の水増し、架空債権、営業権の過大計上、加盟店への未払金の未計上などが指摘されている。帳簿上は黒字でも、実態は600億円を超える債務超過だった可能性がある。金融機関や取引先は、長年にわたり実態とかけ離れた決算書をもとに信用供与を続けていたことになる。

売上未入金が招く連鎖倒産リスク

影響は金融機関だけにとどまらない。日本飲食団体連合会は、全東信の決済サービスを利用していた飲食店に対し、端末の使用停止や未入金額の確認、代替決済手段の確保を呼びかけている。カード決済された売上が入金されなければ、飲食店は仕入れ、人件費、家賃の支払いに直ちに窮する。黒字であっても資金ショートに追い込まれる店舗が出かねず、連鎖倒産の懸念が高まっている。

キャッシュレス社会への警鐘

地銀への波及も無視できない。東和銀行などでは全東信向け融資の一部が取り立て不能となる見通しで、金融庁も実態把握に動いている。決済代行会社は、表向きには目立たない存在だが、加盟店の売上金をつなぐ重要なインフラである。その信用が崩れれば、キャッシュレス社会そのものへの信頼も揺らぐ。

全東信の破綻は、単なる一企業の倒産ではない。キャッシュレス決済の便利さの裏側に、売上金の分別管理、決済代行業者の監督、金融機関の与信審査という大きな盲点があったことを示している。被害を受けるのは、日々の売上で店を回している中小飲食店である。便利な決済インフラを安心して使えるようにするためにも、早急な実態解明と再発防止策が求められる。

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