輸入物価が前年比29.7%上昇:円安ホクホクでも深刻なインフレが家計を襲う

日本の物価高が、再び危険な局面に入っている。

日本銀行が発表した6月の企業物価指数によると、輸入物価指数は円ベースで196.6となり、前年同月比29.7%上昇した。2020年平均を100とする指数なので、日本が海外から買う商品の価格は、わずか6年でほぼ2倍になった計算だ。前月比でも1.3%上昇している。

円安が物価高を増幅

今回の輸入物価上昇は、海外の商品価格だけでは説明できない。

輸入物価指数は契約通貨ベースでは前年同月比17.8%の上昇だったが、円ベースでは29.7%上昇した。約12ポイントの差は、円安が海外の物価上昇をさらに増幅していることを示している。6月のドル・円相場は平均で1ドル=160.8円だった。

つまり日本は、資源価格や原材料価格の上昇に加え、「円の価値が下がることによる値上げ」まで同時に受けている。

輸入物価で上昇が目立ったのは、電気・電子機器、銅やアルミニウムなどの金属、小麦や飼料作物を含む食料関連だった。これらは製造業、建設業、農業、食品産業のコストとして幅広く波及する。

企業物価も7.1%上昇

輸入価格の上昇は、すでに国内の企業間取引価格に転嫁され始めている。

6月の国内企業物価指数は前年同月比7.1%上昇し、2023年3月以来の高い伸びとなった。石油・石炭製品や電力・都市ガス、プラスチック、木材、紙製品など、幅広い品目で値上がりしている。

企業は当初、原材料費や物流費の上昇を利益率の低下で吸収する。しかし輸入価格が3割も上昇すれば、値上げを避け続けることはできない。電気料金、ガソリン、日用品、加工食品などを通じて、数カ月遅れて消費者物価に表れる可能性が高い。

これは賃金上昇を伴う「よいインフレ」ではない。海外に支払う代金が増え、企業と家計の所得が国外へ流出する典型的なコストプッシュ型インフレである。

補助金では円安を止められない

政府は物価高対策として、ガソリンや電気・ガス料金への補助金を繰り返してきた。しかし補助金は価格表示を一時的に抑えるだけで、輸入価格そのものを下げるわけではない。

政府が国債を発行して補助金や給付金を配り、日銀に低金利を求め続ければ、財政と金融政策への不信が円安を招く。その円安が輸入物価を押し上げ、さらに補助金が必要になる。これでは政府が自ら火をつけ、税金で消火しているようなものだ。

輸入物価が前年比29.7%も上昇している局面で、減税や大型給付によって需要を刺激するのも危険である。企業の供給コストが上がる中で需要だけを増やせば、価格上昇を加速させかねない。

必要なのは、円の信認を回復させる財政運営と、インフレに対応した金融政策である。日銀が利上げをためらい、政府が円安を歓迎するような政策を続ければ、輸入インフレの請求書を支払うのは結局、国民である。

高市首相 首相官邸HPより

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コメント

  1. yuzo.seo より:

    ものごと何でも、良い面と悪い面があるものです。例えば以下の部分ですが、
     
    > 輸入物価で上昇が目立ったのは、電気・電子機器、銅やアルミニウムなどの金属、小麦や飼料作物を含む食料関連だった。これらは製造業、建設業、農業、食品産業のコストとして幅広く波及する。
     
    食料関連につきましては、自給率の低いことがかねてから問題視されており、小麦などの国産比率を高める努力がなされております。これらの輸入物価が上昇することは、国産比率向上の後押しをしてくれるはずで、関連する農家や農業法人の経営改善にもつながるはずです。
     
    電気・電子機器も、これらを手掛けておりました家電メーカなどが国内事業を縮小しておりましたが、輸入物価の上昇は、国内生産の拡大を後押ししてくれるはず。特にこれらのメーカは、半導体や、その他の電子部品も手掛けており、これらの多くを海外に頼っている現状は、経済安保という観点からも好ましいものではないのですね。
     
    円安で大変といったところで、プラザ合意の前のレベル(200~250円/ドル)に比べれば十分な円高です。1980年ごろの日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などともいわれていたのですね。多くの日本人が(静かな退職*などせずに)ちゃんと仕事をして、国内で価値を生み出すようになれば、再びこのような時代が来るかもしれません。*: https://agora-web.jp/archives/260413195301.html#google_vignette
     
    ここは、価値を消尽する側の都合を考えるより、価値を生み出す側の都合で、物事を見ていくのが良いのではないかと思います。それが日本を強くする道ではないでしょうか。