高市首相の「わがまま国会」で1週間の会期延長

17日に会期末を迎えた特別国会は、会期を25日まで8日間延長することを決めた。政府・与党は、副首都関連法案や政府提出法案を成立させるために延長が必要だと説明している。カレンダー上は8日間だが、実質的には「もう1週間働かせてください」という話である。

朝日新聞

しかし、審議時間が足りなくなったのは、難しい法案を慎重に審議したからではない。高市早苗首相と与党が国会を空転させ、自分たちで日程を窮屈にした結果である。

答弁の代わりに「秘書の陳述書」

発端は6月22日、中傷動画作成疑惑をめぐる国会質疑だった。高市首相は、自身の奈良事務所の秘書について「近日中に陳述書を提出させる」と表明した。首相本人が国会で説明する代わりに、秘書の書面を読んでもらおうという異例の対応で、野党側は「答弁回避だ」と反発した。

高市首相は後になって、「陳述書を出せば国会で答弁しないという趣旨ではない」と釈明した。しかし、首相が最初から普通に答弁していれば、そもそも起きなかった混乱である。

その後、参院では首相出席の予算委員会や党首討論の開催をめぐって与野党が対立し、審議が停滞した。さらに衆院では、与党が野党欠席のまま衆院議員定数削減法案と副首都法案の審議入りを強行したため、空転は衆参両院に拡大した。

10日止めて、8日延ばす

正常化したのは7月8日である。高市首相が出席する予算委員会の集中審議を開催すること、定数削減法案の今国会成立を見送ることなどを与党側が受け入れ、ようやく野党が審議に復帰した。つまり、与党が強硬姿勢を撤回したことで国会は動き出したのである。(毎日新聞)

衆参で全面的に審議が止まった期間は約10日間。それによって不足した日程を補うため、会期を8日間延ばす。自分で蛇口を閉めておきながら、「水が足りない」と騒いでいるようなものだ。

しかも延長期間中には、自民党幹部らが海外渡航を予定していたことも判明した。野党から「職場放棄ではないか」と批判され、一部の役職者は渡航を取りやめたという。国会を延長させておきながら、延長した本人たちが国外へ出かけようとしていたのだから、もはやコントである。(テレ朝NEWS)

国会は首相の私物ではない

高市首相は会期延長を受け、「提出したすべての政府法案を成立させていただきたい。私たちも懸命に対応する」と語ったが、国会は政府法案を自動的に成立させるベルトコンベヤーではない。

首相が出席したくないときは審議を避け、連立与党の看板法案は野党欠席でも押し込み、時間がなくなれば会期を延長する。これでは議会政治ではなく、首相の都合に国会が付き合わされているだけだ。

今回の会期延長は、政府・与党が懸命に働いた証明ではない。10日間に及ぶ空転の請求書を、国会と国民に回したということだ。まさに高市首相の「わがまま国会」である。

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コメント

  1. 早川蒼真 より:

    記事の指摘は鋭い

    本記事の中核をなす「衆参で全面的に審議が止まった期間は約10日間」という記述と、そこから導かれる「高市首相が自分で蛇口を閉めた」という結論には、事実誤認と因果関係のすり替えが含まれており、そのまま受け取ることはできません。

    まず「全面的に審議が止まった」という前提そのものが、公式記録と食い違っています。この期間中も国会審議は現に行われていました。

    – **7月1日**、衆院特別委員会で副首都法案の質疑が実際に行われています。会議録には、委員長が中道改革連合・国民民主党・参政党・チームみらいの各所属委員に出席を要請し、再度要請しても出席が得られなかったため議事を進めた経緯が明記されています。
    – **7月3日**、参院沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会が約3時間5分にわたり参考人質疑を実施し、立憲民主党・国民民主党・公明党・参政党・共産党・れいわ新選組なども質疑に参加しています。
    – **7月7日**、参院厚生労働委員会が労災保険法等改正案の趣旨説明を聴取しています。

    これらの公式記録が示す通り、国会の機能は全面的に停止していたわけではありません。「10日止めて、8日延ばす」と強調する論法は、実際の会議録と矛盾しており、読者に誤った事実認識を植え付けるミスリードです。

    加えて記事は、「全審議への出席拒否」という手段を選んだのが野党側の政治判断であったという事実を、完全に消し去っています。二度にわたる出席要請に応じなかったという会議録上の事実に一切触れず、あたかも与党だけが一方的に審議を止めたかのように描いている。審議拒否とは、議場で反対理由を述べ、政府を追及し、修正案を提示する機会を自ら放棄する能動的な選択です。物理的に審議時間が減少した以上、その責任は野党側に存在します。

    野党の全面拒否という能動的な意思決定を意図的に文章から消し、すべてを首相一人の「わがまま」に帰結させるのは、因果関係のすり替えと言わざるを得ません。

    記事は真実を隠すことで、結論を一方向へ誘導しています。