黒坂岳央です。
ウォール・ストリート・ジャーナルが、米国の実家暮らし事情について報じている。住宅費の高騰に苦しむ30歳未満の成人のほぼ半数が親と同居しているという内容だ。「実家暮らしはもはや恥ではない」と若者の感覚の変化が取り上げられた。
実家暮らし「恥ではない」 変わる米国の若者事情https://t.co/Em46ihLJA7
— ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 (@WSJJapan) July 19, 2026
この報道は、以前筆者が書いた「実家暮らしは勝ち組」が米国にも広がりつつあることを示している。

誰しも実家を持っているが、誰しも頼れるわけではない難しさがある。これからは実家を頼れる家庭、そうでない家庭で格差がつきやすくなると思っている。

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「実家暮らしが合理的」には条件が必要
実家暮らしが経済合理的だという主張が成り立つのは、親が経済的に自立しており、子への依存や搾取構造がないことが必要だ。また、親子関係が良好で同居に精神的コストがかからず、実家が通勤圏内、または在宅ワークが可能な立地であること。そして物理的にスペースの余裕があることである。これらが一つでも欠ければ、実家暮らしは選択肢にすらならない。
そして現実には、この条件を満たさない層が一定数いる。親が経済的に困窮していたり、あるいは要介護状態で、子が頼るどころか支える側に回らざるを得ないケースだ。毒親や機能不全家庭で、心理的に同居が不可能なケースもあるだろう。親が他界していても無理である。
こうした背景を持つ人にとっては、格差をつけやすい要素になる。自分は不利な条件を抱えているのに、周囲は実家という資産を得て有利な位置からスタートするからだ。
実家の質は「相続格差」
実家という資産の有無は、本人の努力や能力とは無関係な「生まれ」の要素である。学歴や初期資産の差と同様、実家の質もまた相続格差の一形態だと位置づけるべきだろう。
そうなると実家の質で人生の有利不利がこれまで以上に強く出る。これまでは学歴や育ちといった変数だったが、成人後も実家暮らしで経済格差がついてしまうわけだ。しかも実家暮らしをしても子には課税されず、余剰資金を自己投資や資産運用に回せば非常に有利になる。これで格差が使わないわけがない。
持たざる者はどうするか
道徳論を語っても意味がない。具体的な代替戦略を考えるべきだ。
1つはシェアハウスによる疑似実家効果である。家賃を複数人で分散すれば、実家に近い低コスト構造を再現できる。実際、ニューヨークやロンドンなど、世界の都市では行われている。友達、兄弟とこれをすれば一気に生活費を抑えられる。
2つ目は地方移住とリモートワークの組み合わせだ。実家がなくても、家賃相場の低い地域に住めば支出構造を近似できる。筆者がやっている「地方に住んで東京の会社と働く」というスタイルである。
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実家暮らし勝ち組論は、事実としては正しい。だが万人に開かれた選択肢ではない。実家という資産の有無で明暗が分かれる以上、これも格差の一形態として冷静に見る視点が必要である。
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「Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)







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