セルフレジは「トライアル式」が最強

黒坂岳央です。

昨今、セルフレジにまつわる問題があちこちで起きている。悪意ある万引きの増加、あるいは意図せず通し忘れてしまう「うっかり万引き」だ。

実際、本当にうっかり通し忘れて捕まったという人もいて、他人事ではない。「結局、人がやるのが一番」という声も根強いが、昨今の人手不足は深刻で、人件費が高騰し商品価格に転嫁されれば、消費者も含めて全員が不幸になる。

筆者はスーパー巡りが好きで、地元のスーパーはもちろん、旅行先でも必ずスーパーに立ち寄り、地域ごとの違いを見るのが楽しみになっている。そうやっていろいろなスーパーのセルフレジを見てきたが、現時点での理想形は「トライアル型」だと自分は考えている。

完全に個人的意見だが、日々トライアルを使う立場で持論を述べたい。

トライアルホールディングス プレスリリースより

スキャンから会計まで一気通貫

結論、トライアルのレジカート方式は、客の処理速度と店側の人件費削減のバランスにおいて現時点でトップクラスだと思っている。

理由は明快だ。買い物中にカートのスキャナで商品を読み取り、そのままマイバッグや袋に詰めていき、最後にそのカートで決済する。多くのスーパーで採用されている「商品をスキャンした後に一度カゴへ戻し、精算機まで移動して再度処理する」という二度手間の設計が、トライアルにはない。

動線が一本化されているため、レジ待ちがほぼ発生しない。レジ係が不要になることで、混雑時でも処理能力が落ちないのは大きい。

筆者は地元スーパーでトライアルに一番通う。理由は2つある。1つ目は価格が安い。そして2つ目はレジ待ちがないことだ。そしてこれらの理由は「トライアル型カートレジ」が生み出しているのだ。

店側にとっても、1人のスタッフが複数台のカートやゲートを監視すればよく、人件費を大幅に抑えられる。これはトライアルの低価格戦略そのものと相性がよく、方式と経営戦略が一体化している点が他社との差だと感じている。

万引きへの不安が少ないのも、利用者目線で見逃せない利点だ。完全無人型のセルフレジでは「スキャン漏れがあったらどうしよう」という不安が会計の瞬間まで残るが、レジカート方式は買い物中に随時スキャンしていく設計のため、精算前の段階で不安がない。買い物をしながら「今何が入っているか」を都度確認できる感覚に近い。

なお、イオンのレジゴーなど同様の仕組みも支持を受けているようだ。方式そのものの優劣というより、トライアルは徹底した低価格戦略とプリペイドによる囲い込みを組み合わせている点で、完成度を一段引き上げていると筆者は見ている。

「高齢者が使えない」という反発はどうする?

この手の話をすると、必ず「高齢者や機械操作が苦手な人はどうするのか」という反発が出る。こちらはついてこられない人を割高にすればいい。実際、トライアルではレジカート決済をすることでポイント還元をつけている。これは実質的に「通常カートを割高にしている」のと同じである。

日本はすでに、全員に配慮して現状維持することが可能な人手不足の水準にはない。「店員さんが対応することで接客の温もりが」などときれいごとでは店舗ビジネスは回らない。

特に地方のスーパーでは、店員の確保自体が経営上の最大のボトルネックになっている。うっかり万引きの摘発リスクや、それに伴う店員の拘束・対応コストも、地方の小規模店ほど深刻な負担としてのしかかる。

現実的な解決策は、レジカートやセルフレジの利用者にポイント還元などのインセンティブを付与し、従来型の有人会計を相対的に割高にしてしまうことだ。これは差別ではなく、コストに応じた価格設計にすぎない。

こうした運用はすでに市場に受け入れられている。スマホをオンラインで買うのと、直営店舗で買うのと何ら変わらない理屈だ。当然、直営店舗の方が高い。もし嫌なら自主的に学習すれば済む話で、これは個人の自由な選択である。

情報化社会の今、情弱は割高になる、厳しい言い方に聞こえるがこれはむしろ当然で、操作についてこられない人に配慮するために、ついてこられる大多数の人間まで巻き込んでコストを負担させ続ける方が、よほど非合理的で冷たい社会である。

我が国は人手不足という制約条件が今後改善する見込みは薄く、価格差はむしろ拡大する方向にしか進まないというのが現実的な予測である。そして限られた貴重な人員はレジ打ち係に大量消費するより、別産業で活用したほうが日本経済全体で見ても合理的である。

デジタル化についてこられない人は割高を受け入れるか、学習してついていけるようにする二択だ。

将来的な進化の方向性

将来的には、画像認識AIによってバーコードを読まずに商品を自動識別する方式や、カメラとセンサーだけで自動的に会計が完了するAmazon Go型のような仕組みが普及する可能性もある。そうなれば、トライアル方式もいずれ置き換えられていくかもしれない。

しかし、既存のバーコード運用を前提とする限り、トライアルのレジカート方式は現時点で最も完成度の高い仕組みの一つだと言ってよい。

人手不足という構造的な制約が続く以上、「全員に優しい仕組み」を追求するより、「使える人には使ってもらい、その分のコストを可視化して価格に反映する」方向に進むのが、結局は消費者全体にとって合理的な選択になるはずだ。

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Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。

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