日本経済新聞に「ファンドラップの顧客、5割超が運用益10〜30%」という見出しの記事が掲載されていました(図表も同紙から)。ファンドラップとは金融機関が顧客に代わって資産の運用や管理を行う「投資一任サービス」です。プロに運用を一任でき、安定した国際分散投資が実現できるとされています。

見出しや掲載されている図表を見るとプロに運用を任せるファンドラップがいかに優れたサービスであるかを示しているように見えます。
しかし、ファンドラップ費用(年率約1%〜1.5%前後)と、組み入れる投資信託にかかる信託報酬(年率約1%前後)が二重にかかり、合わせて年率2%以上の高コスト商品です。業界の専門家で利用している人はいないのではないでしょうか。
実際、図表に出ている時期の相場環境を振り返ってみると株式市場は総じて上昇基調でした。
TOPIXの2024年、2025年の年間リターンは配当込みでそれぞれ19.8%と18.5%。日本を除く先進国の株式インデックス(MSCIコクサイ)はそれぞれ、33.0%と20.6%です。
このようなマーケット環境であれば、高いコストを払ってファンドラップ口座に頼らずとも、低コストなインデックスファンドをある程度組み入れるだけで、9割どころかほぼすべての投資家が資産を大きく増やせているはずです。
記事にするのであれば単なる黒字顧客の比率ではなく「高い手数料を支払ってまでプロにお任せした結果が、市場平均(ベンチマーク)と比較して本当に見合うものだったのか」を検証すべきではないでしょうか。
意図的にファンドラップに対する印象操作をしているとしか思えません。
経済新聞社にとって金融機関は極めて重要な広告主です。そして高額な信託報酬や管理手数料が得られるファンドラップは、金融機関にとって極めて利益率の高い目玉商品でもあります。
フェアな比較軸を示さないままファンドラップを持ち上げる記事作りは新聞社と金融機関との深い相互依存関係を疑わせます。
メディアの本来の役割は広告主に都合の良い記事を掲載することではなく、読者である個人投資家が適切な判断を下せるよう公平で客観的な視点を提供することにあるはずです。
今回の記事は純粋な報道というより、記事の体裁で広告するいわゆる「記事広告」というべき内容であり、ジャーナリズムとしての誠実さに欠けていると感じました。
ちなみにこちらはQUICK資産運用研究所の西本ゆき氏の署名記事になっています。当事者の言い分も聞いてみたいところです。

日経新聞本社 同社HPより
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年8月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。







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