おわら風の盆の町・越中八尾の坂道を歩く

富山市の南部、八尾地区の越中八尾駅に来ました。越中八尾といえば、「おわら風の盆」。9月1日から3日まで開催される祭りの時期には駅も多くの観光客で賑わいますが、普段はこのように静かです。

越中八尾の町は駅からやや離れた場所にありますので、バスに乗って町の中心部に向かいます。町を流れる井田川の対岸から八尾の街並みを望みます。石垣の上に町が広がる越中八尾。井田川の河岸段丘の上に町が広がります。なかなか独特の景観です。

バスを麓で降りて、町中へは坂や階段を登って向かうことにします。町の南北を貫く「合同の坂」。1909(明治42)年大正天皇行啓の際に生糸合同工場まで新設された道路です。皇太子が来るとあってこのような大きな通りが作られました。高低差のある越中八尾の町を南北に貫きます。

鏡町

合同の坂を一本入ればこのような落ち着いた街並みが広がります。坂の中段に位置する鏡町は花街として発展したエリアです。

「気まぐれランチ」が名物の山元食道さんに行こうと思ったのですが、お休みでした。この日は火曜日で営業日のはずなんですが… 営業日も気まぐれ?

おたや階段

鏡町から町の中心部に向かうおたや階段。下は広場になっていて、おわら風の盆ではここも踊りの会場になり、階段に腰かけて踊りを観覧する人で賑わいます。

味わいがあっていい感じ。

お昼は明治25年から営業を続ける蕎麦屋「高野」さんでいただきました。

冷やし天蕎麦を頂きました。炎天下を歩くのでせめてこういうところで漁を取りたいですね。箸にも店の名前が書かれているのが印象的でした。

諏訪町本通り

東に向かうにつれて上り坂になります。

今年最後のあじさいも美しく。

障子の格子が特徴的。
こうしてみると坂になっているのがよくわかりますね。

腹ごしらえをしたら本格的に街歩きを始めます。町の北東に位置する諏訪町本通りは石畳の道の両脇に昔ながらの造りの建物が並びます。おわら風の盆ではこの一帯で踊りが繰り広げられ、多くの踊り手と見物客で賑わいます。

おわら風の盆の編み笠と風鈴。
ここでしか見られない組み合わせ。

諏訪町本通りを東に上がった先、少し奥に入るとひっそりと神社が建っています。若宮八幡宮蚕養宮。越中八尾は越中と飛騨をつなぐ交通の要衝で、一時は絹糸の生産量のシェアの1/4を占めるほどに発展してきました。蚕がよく育つことを願うために崇められた神社で、町の歴史を感じることができます。

おわら風の盆があまりにも有名な越中八尾ですが、祭りはそればかりではありません。毎年GWに開催される曳山祭りでは各町の大きな曳山が勇壮な掛け声とともに街中を巡ります。

町の中心部にある曳山会館には各町の曳山が展示されています。6つの町それぞれの曳山は漆や彫金、彫刻などが施される豪華な曳山ばかり。風の盆が開かれる9月だけではなく、5月にも訪ねてみたくなります。

曳山会館を出て、少し西に移動します。曳山を見たならやはり越中八尾の一大イベント、おわら風の盆の資料館も訪ねておかなければいけません。「八尾おわら資料館」ではシーズンオフの期間でもおわら風の盆の動画を見られるなど、祭りの雰囲気を味わうことができます。

11の町がそれぞれ異なる踊りのスタイルを持ちます。

先ほどから何度も出ている「おわら風の盆」。そもそも「おわら」って何?と思うんですが、実はその名の由来は諸説あって定まっていません。「大笑い」が転じたとか、豊作祈願の「大藁」が転じたとか、八尾周辺の「小原村」が転じたとか、諸説ありますが決定的な説はないのだそうです。

一方「風の盆」ですが、こちらは五穀豊穣のためのお祭りが台風の襲来が多く風水害に晒されることの多い旧暦9月上旬前後に行われることからこの名がついたとされています。

おわら風の盆で奏でられる音楽は三味線のほかに胡弓を使っているのが大きな特徴です。その哀愁漂う音色に乗って踊り手が五穀豊穣を願う舞を踊ります。いろいろ説明をしていますが、私は実際のおわら風の盆を見たことはありません。夜遅いイベントに多くの観光客が殺到するというので躊躇していたのですが、今回映像などを見て一度絶対参加してみたいと思うようになりました。

越中八尾の街歩き、最後は町の西側にある石垣の坂道を堪能して締めたいと思います。

坂の町と呼ばれる町は全国に多くありますが、石垣の上に町が広がる光景を観ることはあまりなく、独特の光景が眼前に広がります。

越中八尾は井田川の氾濫に悩まされており、その氾濫による被害から町を守るために高台に町を作り、石垣で防御したためこのような町並みが作られることとなりました。

何とも独特の光景です。

石垣に守られた坂の町・越中八尾。祭りのない季節の静けさの中でも、江戸情緒あふれる町並みや石垣の上に連なる家々の佇まいに心を奪われました。行きたいと思いながらまだ訪れられていない「おわら風の盆」への憧れは、今回の旅でさらに強くなった気がします。次こそは9月上旬の祭り最盛期にこの町を訪れ、躍動する越中八尾の姿を自分の目で確かめたいと強く思うようになりました。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2026年7月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。

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