日本がアメリカの真の「友人」であるべき意味とは何か

「真の友人とは、あなたに同調して間違った道を進ませるのではなく、あなたの過ちをあえて指摘してくれる人のことだ」という名言がある。

日本の高市政権やそれを支える顧問・有識者の頭の中に、この言葉は存在するのだろうか。私にはそう思えない。なぜならば、日本政府が、米国民にさえも不人気で不必要なイラン戦争をやめるよう、外交努力をしてきた気配が見えないからだ。

もちろん、水面下では外務省がワシントンで動いていたのかもしれないが、それではあまりに弱すぎる。

イランへの大規模攻撃の中止

幸いなことに、トランプ氏はホルムズ海峡の解放と非核化を条件にして、イランへの大規模攻撃を見送ると発表した。

これをきっかけにして、イランとの戦争に終止符が打たれればよいのだが、両国間の「覚書」が結ばれた後に戦争が再開した経緯があるため、予断は許されない。

「トランプ大統領しか世界の平和を維持できない」とメンツを立てる形で、日本政府は、アメリカがイラン戦争から完全に離脱する手助けをし、その状態を定着させなければならないだろう。

イラン戦争と日本の国益

なぜ、こうした日本外交が重要なのだろうか。その答えは、イラン戦争が単なる中東地域の紛争にとどまらず、日本の国益を大きく損なうからである。

第1に、アメリカが今年2月にイランを本格攻撃した結果、ホルムズ海峡が事実上閉鎖され、中東に石油を約95%依存する日本が大打撃を受けたことを指摘しなければならない。

とりわけ深刻なのは、石油の全輸入の約3分の1を供給するサウジアラビアから日本に向かうタンカーが、ホルムズ海峡で足止めをされたことだ。その結果、エネルギー価格の高騰などによるインフレが発生すると同時に、日本の石油備蓄も大幅に減少した。

くわえて、紅海経由の石油も、イランの盟友であるフーシ派がバブ・エル・マンデブ海峡を封鎖しようとする余波を受けて、日本に入りにくくなってしまった。こうした苦境を打開する意義は、日本にとって極めて大きい。

イラン戦争と日米中関係

第2に、同盟国アメリカが中東での泥沼の戦争で国力を浪費することは、日本の事実上の「仮想敵国」である中国を相対的に利することになる。その結果、日本の安全保障はますます危うくなる。

東アジアにおいて、現時点で中国は日本に対して圧倒的に優勢である。軍事費だけで比較しても、中国の国防費は約5倍にのぼる。このギャップを埋めるために日本政府は防衛費を倍増しようとしているが、それだけでは東アジアの軍事バランスは保てない。日本には同盟国アメリカの力が必要なのだ。

そのアメリカが、長期のウクライナ軍事支援に続き、イランへの攻撃で弾薬を大量に使い、その在庫が危険なレベルまで低下したことは、同盟国日本を軍事的に支援する力を大幅に弱めていることを意味する。この状況を北京が喜んで眺めているのは想像に難くない。

要するに、この約4年半でアメリカは自らのオウンゴールによって弱体化し、ライバルの中国は何もすることなく敵失によって強くなったということだ。これで国力が停滞する日本も、戦略的にますます窮地に立たされることになった。

ワシントンの自滅と中国の「漁夫の利」

これは日本のみならず、アメリカの国益にも反する。なぜならば、現在の世界は米中の二極であり、アメリカの生存を究極に脅かす唯一のライバルである中国が得をすることをワシントン自身が繰り返し、結果的に自滅しているからだ。これは国家の大戦略に反すると言わざるを得ない。

そもそもトランプ政権は、昨年末に発表した国家安全保障戦略において、中東がアメリカの対外政策を支配した時代は終わったと高らかに宣言した。その数カ月後に、中東の大国イランを攻撃して泥沼の戦争に足を突っ込むなど、言っていることとやっていることが完全に矛盾している。

本来ならば、アメリカはアジア太平洋地域における中国の野望を阻止することに集中すべきなのだ。この方針は、15年以上前のオバマ政権時に「アジアへの軸足移動」を決めて以来、アメリカの中心的な戦略であり続けているはずである。

それにもかかわらず、オバマ、トランプ1.0、バイデン、トランプ2.0のどの政権もこれを実行していない。これでは、アメリカが無節操に「モグラ叩き」をしていると批判されても仕方がないだろう。

日本政府への提言

それでは、日本はどうすればよいのだろうか。高市政権はアメリカに対して何をすべきなのだろうか。

・日米同盟の堅持と「微笑み外交」
言うまでもなく、中国の脅威から日本を守るために日米同盟を強化すべきである。しかし、これはトランプ氏を怒らせないようにアメリカの行動をただ黙って見守っていれば達成できるわけではない。

東京がワシントンを正面から批判することは避けるべきであるが、高市首相自らがトランプのメンツを立てつつ、アメリカが戦争からスムーズに脱却できるよう、さり気なく「微笑み外交」で支援することは、日米双方の国益に合致する。

・「逆外圧」の活用
もちろん、トランプの意向を左右することは、日本だけではできないだろう。しかし、そのチャンスはある。アメリカ軍幹部はトランプ氏に対して武器弾薬が危機的状況にあることを伝えており、トランプ自身もイランとの交渉に余地を残していると述べていた。こうして、彼はイランへの大規模な攻撃をやめることにしたのだ。

この決定を持続的なものにするため、サウジアラビアが懸念を示したように、日本も「イラン戦争が再開すれば日本は困る」という「逆外圧」を与えることは十分に試す価値がある。政権内の「タカ派」に揺さぶられているトランプ氏を支えるうえでも効果が期待できるからだ。

同盟国アメリカがイランとの戦争を再開し、これ以上弾薬を浪費すれば、日米同盟は形骸化しかねない。日本が有事に見舞われた際、弾切れのアメリカははたして日本を助けてくれるだろうか。

中国との安全保障上の競争において日本の戦略的重要性が高まる中、ワシントンは日本を味方に引き止めたいと考えるだろう。二極世界において、世界有数の力を持つ同盟国の日本を見捨てる代償は大きいためだ。しかし、その政治的意志を実現する武器や戦力がアメリカになければ、有事の際の実効的な軍事支援はますます困難になる。

戦争終結のタイミングと持続

戦争は長期化するとやめることが難しくなる。すでに投入したコストや支払った犠牲を「決定的勝利」によって回収しようとして、戦争をエスカレートさせてしまうからだ。その結果、交戦国はむなしく国力をすり減らすことになる。

戦争の平均的な継続期間は約4~5カ月といわれる。イラン戦争はまさにこの期間に近い。これを大きく超えると戦争は長引くのみならず、コストもかさむ。やめるなら今しかないというギリギリのタイミングで、トランプ大統領は戦争をやめようとしている。

日本の高市首相が、これで安心するのは早すぎる。彼女はトランプ氏との親密な関係をうまく利用し、イランとの戦争終結を確かで持続的なものにするために、得意の「微笑み外交」と「逆外圧」を駆使して、この目的に全力で取り組むべきだ。もしイランとの戦争が再発すれば、日米双方が国益を損なう一方、中国の立場はますます強化されるだろう。

これを日米の愚行と言わずして、なんと表現すればよいのだろうか。

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