利回り年7%をうたった「みんなで大家さん」が2881億円の債務超過:2500人が集団訴訟

高い利回りと「不動産投資の安心感」を売りに、個人投資家から巨額の資金を集めてきた「みんなで大家さん」が、深刻な経営状態に陥っている。

運営会社の都市綜研インベストファンドが公表した2026年3月期の決算公告によると、営業損益は約65億円の赤字、最終損益は約2984億円の赤字となり、純資産はマイナス約2881億円に転落した。

大阪府は、事業者が債務超過に陥っている状態について不動産特定共同事業法に抵触するとして、詳しい調査を進めている。運営会社側は、保有資産を売却することで債務超過を解消する見込みだと説明している。

3万7000人から2000億円超を集める

「みんなで大家さん」は、不動産を小口化し、出資者から集めた資金で不動産事業を行い、賃料収入などを分配する仕組みだ。

中でも主力だった成田空港周辺の大型開発「ゲートウェイ成田」関連商品では、1口100万円から出資でき、想定利回り年7%を掲げていた。「株ほど値動きが激しくない」「大家としての管理業務も必要ない」といった手軽さも人気を集め、グループ全体では3万7000人以上から2000億円を超える資金を集めたとされる。

しかし主力の成田プロジェクトでは工事が予定通り進まず、2025年7月以降、ほとんどの商品で分配金の支払いが停止した。

約2500人が232億円の返還求める

出資者の不安は訴訟に発展している。2025年11月には1191人が約114億円の返還を求めて大阪地裁に集団提訴。その後、2026年2月に約1300人が追加提訴し、原告は約2500人、請求総額は約232億円に膨らんだ。

つまり、今回明らかになった債務超過をきっかけに訴訟が始まったわけではない。分配金の停止や解約・返金をめぐる問題からすでに集団訴訟が進んでおり、その最中に約2881億円という巨額の債務超過が判明した形だ。一部の個別訴訟では、2026年3月、大阪地裁が運営会社に約1714万円の返還を命じる判決も出ている。

2024年にはすでに行政処分

問題の兆候は以前からあった。大阪府と東京都は2024年6月、都市綜研インベストファンドと販売会社に対し、不動産特定共同事業法に基づく30日間の業務一部停止命令などを出している。

東京都は成田プロジェクトについて、計画変更によって土地の資産性や売却価格、将来の収益性などに影響するリスクを投資家に十分説明するよう求めていた。それでも商品は長期間にわたり、「年7%」という数字を大きく掲げて販売されてきた。

もちろん「想定利回り7%」は7%の収益を保証するものではない。しかし、安全性を強調した広告と高い分配実績が組み合わされれば、投資経験の少ない人ほど預金に近い商品だと錯覚しやすくなる。

「年7%」には当然7%分のリスクがある

投資の世界に、「高利回り・低リスク・安定収入」を同時に実現できる魔法の商品はない。むしろ重要なのは、なぜその商品だけが年7%もの利回りを出せるのか、という点だ。

不動産から安定的に7%を分配するには、それを上回る収益を事業そのものが継続的に生み出さなければならない。開発途上で十分な賃料収入がない段階から高い分配を続ければ、その原資がどこから出ているのかという疑問は当然生じる。

「みんなで大家さん」をめぐっては現在も訴訟や行政調査が進んでおり、違法行為や最終的な出資者の損失額が確定したわけではないが、2000億円を超える個人資金を集めた事業者が約2881億円の債務超過に陥ったという事実は重い。

「元本割れしにくい」「不動産だから安心」といった言葉より先に見るべきなのは、その高い利回りを生み出す収益源だ。年7%という数字は、銀行預金より7%分お得なのではない。それだけ大きなリスクを誰かが負っている、ということでもある。

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