日本で誰でも知っている某俳優が最近、家族そろってカナダに教育移住しています。極秘なので名前は明かせませんが、バンクーバーを選んだのは英語教育のメッカであり、日本には最も近い北米大陸の大都市で飛行機も一日4-5便もあるし、アメリカに比べ安全で物価もアメリカほど高くないことはあるのかもしれません。
光浦靖子さんがバンクーバーに留学し今でも活動拠点にしているのをご存じの方も多いでしょう。私は彼女が当地に来てしばらくした頃、ある方を通じてご紹介を受け、今後宜しく、いわれました。「何をよろしくするのかな?」と思ったら光浦さんから「私の3つのお願い、聞いてくださる?」と初対面の私に言うのです。緊張しながら耳を傾けると歯医者の紹介と2週間だけ日本レストランでアルバイトしたいというところまでは良かったのですが、3つ目が「私に良い人、紹介して」はいまだに達成できていないお願い事であります。
さて、大人に限らず、バンクーバーの教育や生活環境が優れており、故に母子留学のメッカとなったのは1997年の香港返還を控えた香港人が「カナダの永住ビザを取ってカナダに引っ越そう」というブームが火付け役でした。あの頃は香港の富裕層は英国、オーストラリアと共にカナダが移住先の大人気の候補でした。晴れて永住権が取れた富裕層たちが目指したのは子供たちに現地で高いレベルの教育を受けさせ、大学はもちろんブリティッシュ コロンビア大学だよね、というお決まりコースでした。
ところが父親はバンクーバーでビジネスを立ち上げたり、雇われたりするも仕事がない、あるいは収入が十分ではなかったのです。そこで父だけが香港に帰り、母子がバンクーバーに残り、子供が大学を卒業するまで完全なる有閑マダム状態でした。そして子供が大学を卒業するとこぞって香港に帰国してしまったのです。あれ?というしかないのですが中国人独特の「海外を知ったけどもう十分」で中国人の行動規範が群れを成しやすい点で日本人と変わらんな、とも思ったものです。
その後を追うように少しだけブームになったのが日本人の母子留学。高校生ぐらいから母親とバンクーバーに来てあとは「時の過ぎゆくままに…」という感じでした。大学まで行く人は思ったほどいなかったと思います。
日本で教育留学がブームだと聞きます。日本の型にハマった教育ではなく、様々な国の人たちと混じりあいながらいろいろな考えを身に着けるとともに自己発信能力を高めさせたいということなのでしょう。ところがかつての欧米留学ブームは終わり、マレーシアなど東南アジアにシフトしているようです。
アメリカは危ないし、今のアメリカから学ぶことがあるのか、と疑問視する親御さんも多いでしょう。それに欧米は留学費用が異様に高いのです。生活費まで入れれば年間1千万円とかそんなレベルです。なのでいくら日本人の富裕層といえども無理なんです。そもそも子供が小中学生ぐらいとなれば親御さんの年齢は40歳前後ですからその時点でアセットとしての富裕層ではなく、外資系あたりで高給取りの子弟が対象ですから人数的には知れているわけです。(親の援助があれば別ですが。)
私もそのような日本人の有閑マダムたちは何人か知っていましたが、どの奥様方も「物価が…」の話ばかりでした。
私が35年当地に住み、日系カナダ人とも多数接触してきてなるべく公平な目線で一言だけ申し上げるなら小学校とかそれより下からカナダに来ると人格形成においてカナダ人っぽくなります。英語はべらべらでカナダ的なウンチクを垂れます。だけど日本人としてのメンタリティが一つも育成されておらず、実に中途半端になってしまうのです。とても悪い表現ですが、彼らをバナナというのは顔かたちはアジア人、むけば白人っぽいという意味です。そのまま社会人になるので正直、皆さん、苦労しているというのが私の知る日系カナダ人の実態です。
ところが韓国系とか中国系の人は会社を立ち上げ、あるいは雇用され、どんどん偉くなる人も多いのです。議員もいます。様々な方面で活躍する方もいます。この違いはなぜでしょうか?私ももう少し勉強する必要はありますが、大陸系のメンタルの強さは圧倒的だと思います。
では話を転じて外国人が日本に留学するケースはどうなのか、といえば増えています。ここ数年、年に8万人前後ぐらい増えてきており、2025年で40万人を突破しています。ただし、その出身国は9割がアジアで中国が13.1万人、ネパールが10.2万人でこの2か国で過半数を超えます。あと3位以下もベトナム、ミャンマー、スリランカと続くのです。
私からするとそれはそれでいいんだけど、なんか違うんだよな、と思っているのです。なぜ欧米人は日本に留学しないのか、であります。私もそのあたりはカナダからの実態を見ているのですが、せいぜい1学期間だけといった短期の留学が主流です。つまりじっくり腰を据えて勉強する人が少ないのです。
東南アジアや中国からの留学生は日本のテクニック、つまり技術やノウハウを学び、それを自国に持ち帰る、ないし日本に残り、日本で就職するという趣旨なのでしょう。ですが私は日本にはもっと学べる学問がたくさんあると思うのです。文学でも哲学でも神道でも禅でもいろいろあるし、それらは海外と比較参照できない日本の独自性の学問だと思うのです。
まとめです。個人的には日本人が海外に留学するのは結構。だけど、その前に日本のことを十分に勉強し、人にプレゼンできるぐらいの知識を持った上で来てもらいたいと思います。ワーホリでバンクーバーに来る人の9割が「英語がうまくなりたいから」といいますが、1年ぐらいワーホリしたからと言って英語はうまくなるわけじゃないのです。英語学校に通うワーホリの女子たちによく聞くのです。「あなた、英語は誰としゃべってんの?」と。答えはクラスメートの韓国人、ブラジル人、台湾人…。おまけにホームスティ先の家族はフィリピン人。そこで嫌味に聞くんですよ、「あなた、カナダ人としゃべったことある?」って。案外ないことにびっくりします。つまりカナダに来てもカナダ人としゃべる機会は思ったほどないとも言えるのです。
一口に海外といっても難しいし、日本にくる留学生も大学経営の下支えかね、と思われる節も無きにしも非ず、というところです。この問題は実に難しいのですが、母子留学よりもやっぱり大学生ぐらいで留学するか、国内大学を卒業した後、海外大学に再度留学するぐらいのほうが個人的には良い気がします。

Sanga Park/iStock
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年8月24日の記事より転載させていただきました。







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