豪雨でタワマン眼下の隅田川に異様な悪臭:東京に残る「合流式下水道」の欠陥

8月22日、東京都内を記録的な大雨が襲った。板橋区付近では1時間に120ミリ以上の猛烈な雨が降ったとみられ、西荻窪周辺では道路が水没するほどの冠水が発生した。

注目されたのが湾岸部だ。勝どき周辺では、大雨の後に隅田川から強い下水のような臭いが漂ったとの報告がSNSで相次いだ。

原因として考えられるのが、東京に今も多く残る「合流式下水道」である。

大雨になると汚水を川へ流す仕組み

東京23区の下水道の約8割では、家庭やビルから出る汚水と雨水を同じ下水管で処理している。通常であれば水再生センターで処理されるが、大雨になると大量の雨水が一気に流れ込み、処理能力を超えることがある。

その際、市街地で下水があふれるのを防ぐため、汚水を含む雨水の一部を川や海へ放流する仕組みとなっている。

これは事故ではなく、現在の下水道システムに組み込まれた運用だ。ただし、その結果として河川の水質が悪化し、悪臭が発生することがある。

今回、勝どき周辺で報告された臭いについて東京都が原因を特定したわけではないが、大雨直後だったことから、合流式下水道による放流との関連が注目された。

勝どき橋 CHUNYIP WONG/iStock

地上は最新、地下は老朽インフラ

皮肉なのは、勝どきや晴海、月島といった湾岸地域に、高価格帯のタワーマンションが相次いで建設されている点だ。

地上では最新設備を備えた巨大な「垂直都市」が形成される一方、それを支える道路、下水道、河川といった基盤インフラは長い年月をかけて整備されてきた。

もちろん、タワーマンションそのものが豪雨に弱いとは限らない。近年の物件では止水板や防潮設備、重要設備の浸水対策も進んでいる。

一方で、道路が冠水すれば交通は止まり、地下設備が浸水すれば電気や水道などのライフラインにも影響が及ぶ。周辺河川に汚水が流れ込めば、建物が無事でも生活環境は悪化する。

「1時間100ミリ超」に追いつけるか

東京都では従来、下水道を基本的に1時間50ミリ程度の降雨に対応できるよう整備してきた。現在は浸水リスクの高い地域を中心に、より強い雨への対応も進めている。

しかし今回、一部地域では1時間120ミリ以上という、それを大幅に上回る猛烈な雨が降った。

東京都は雨水を一時的にためる地下施設などの整備を進めているが、すべての地域を短期間で強化するのは難しい。

今回の豪雨が浮き彫りにしたのは、「タワマンは危険だ」という単純な問題ではない。地上の再開発が急速に進む一方、それを支える地下インフラの更新や増強が追いついているのかという問題だ。

数億円のタワーマンションを建てても、街を支える下水道や道路が豪雨に耐えられなければ、都市全体の防災力は高まらない。勝どきに漂ったとされる下水臭は、華やかな湾岸再開発の足元に残るインフラ問題を象徴する出来事となった。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント