沖縄県名護市辺野古沖で今年3月、同志社国際高校の研修旅行中に小型船が転覆し、女子生徒と船長が死亡した事故をめぐり、同校の西田喜久夫校長が8月末で退任することになった。後任の校長が就任する見通しだ。
同校を運営する学校法人同志社の八田英二理事長(77)も、事故の責任を取って理事長職を辞任する意向を示している。
しかし、西田校長の退任は事故から5カ月以上たってからである。これまでに明らかになった安全管理上の問題を考えれば、対応があまりにも遅かったとの批判は避けられない。

同志社 八田英二理事長(同学校法人HPより)と同志社国際・西田喜久夫校長
下見なし、教員も乗らず
事故は3月16日に発生した。生徒らが乗った小型船2隻が転覆し、女子生徒1人と船長1人が死亡、14人が負傷した。
文部科学省の調査では、学校は2023年にボート乗船を始めて以来、今回を含め事前下見をしていなかった。事故当日は引率教員も船に乗っておらず、2隻に対して乗船予定の教員はそもそも1人だけだった。生徒や保護者には、どのような船に乗るのか十分な説明もなかった。
研修旅行は教職員会議で承認され、最終的には校長の責任で実施されていた。単なる現場教員の判断ミスでは済まされない。
文科省が「政治的活動」と判断
深刻なのがその教育内容だ。文科省は5月、同志社国際高校の辺野古学習について、さまざまな立場を十分提示せず、特定の見方に偏っていたとして、政治的活動を禁じる教育基本法14条2項に反すると判断した。
生徒が乗った船は、船長が日常的に辺野古移設反対運動に使用していた抗議船だった。過去の研修旅行のしおりには、ヘリ基地反対協議会による座り込みへの参加を呼びかける文章まで掲載されていた。2025年の研修旅行では、謝礼の領収書の一部が「ヘリ基地反対協議会」名義だったことも確認されている。
これは単に「沖縄の現実を学ぶ」という話ではない。一方の政治運動に接近した教育が、学校行事として長年続いていたのではないかという問題である。
外部団体との関係も説明が必要
文科省資料では、基地建設反対などを掲げる日本基督教団京都教区のホームページで、同志社国際中高が「関連諸団体」として掲載されていたことも指摘された。
ただし学校側は、これは無断掲載であり、同教区の関連団体ではないと否定している。同教区に所属する牧師でもある教員は在籍しているものの、外部団体が教育内容を直接決めた事実はないとも説明している。
だからこそ、西田校長には説明する責任がある。どこまでが学校独自の教育方針で、どこから外部の政治運動との接点が生まれたのか。なぜ校内で政治的中立性について疑問が出なかったのか。
文科省自身、校長の責任の下で内部チェックが働かず、ガバナンスに「極めて大きな問題」があったと指摘している。
このまま説明責任を投げ出すのか
死亡事故から5カ月。理事長と校長が退任するだけで幕引きにしてはならない。
安全管理はなぜ崩壊したのか。なぜ偏りを指摘される政治教育が長年続いたのか。外部団体との関係はどこまであったのか。
西田校長が退任するのであれば、その前に自ら記者会見を開き、これらの疑問に答えるべきだ。「退任」は説明責任の代わりにはならない。






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