フェルメール展はなぜ大混雑と酷評の嵐?

大阪中之島美術館で開催されている「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展」が、別の意味でも大きな話題になっています。

フェルメール展 公式サイト

目玉はもちろんフェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」。14年ぶりの来日で、前回は120万人が来場しました。

ところが苦労してチケットを手に入れた来場者からは、SNSで「3時間かかった」「美術展というよりアトラクション」「ゆっくり鑑賞できない」といった厳しい声が続出しています。いったい何が起きているのでしょうか。

「日時指定」なのに3時間待ち

今回の展覧会は8月21日から9月27日まで、わずか38日間の大阪限定開催です。しかも当初のチケット先着販売にはアクセスが殺到し、主催者が謝罪。一般販売は途中から抽選制に変更されました。当日券も原則ありません。

これだけ厳しく入場者数を管理しているのだから、会場ではゆっくり鑑賞できる――と思えば、平日でも「真珠の耳飾りの少女」に到達するまで3時間前後かかったという報告があります。複数の待機列が発生し、「ディアナとニンフたち」だけで30分以上。

日時指定券は「快適に鑑賞できる人数」を意味しているのではなく、あくまで入場時刻を分散させただけ。観客が主催者の予想をはるかに超えたので、ほとんど意味がなかったのです。

最大の問題は「12点しかない」こと

今回の展覧会で展示される実物の絵画は全部で12点。そのうちフェルメールは2点だけです。だから客は自然に2点のフェルメール、とりわけ「真珠の耳飾りの少女」に集中します。ボトルネックが発生するのは当然です。

残る10点にはレンブラントやヤン・ステーンなどマウリッツハイス美術館の名品が含まれていますが、「フェルメール展」という名称から何十点もの絵画を巡る展覧会を想像すると、かなり印象が違います。一般料金は3000円です。

少ない実作品を補うように、20mの大型スクリーンによる映像やフェルメール作品の複製展示なども用意されています。これは美術に詳しくない来場者には分かりやすい工夫でしょう。一方で、昔ながらの「原画を静かに見る美術展」を期待する人には、イベント的な演出が過剰に映ります。

「最後の来日」が需要を爆発させた

さらに需要を押し上げたのが、「日本で見る最後の機会かもしれない」という希少性です。「真珠の耳飾りの少女」はマウリッツハイス美術館の看板作品なので、外部への貸し出しは「極めて例外的」です。

今回は美術館が改修のため一時休館するという特殊事情で来日が実現しました。「今見なければ二度と日本で見られないかもしれない」と考える人が殺到するのも無理はありません。

そうして需要を最大限に高めながら、開催地は大阪だけ、会期は38日、実作品は12点という極端に限定された供給になっていることです。

酷評されているのはフェルメールではない

興味深いのは、「真珠の耳飾りの少女」への評価は依然として非常に高いことです。「実物を見られて感動した」「色彩が美しかった」という声も少なくありません。酷評されているのは、中之島美術館の運営です。

しかもフェルメール2作品は撮影できるため、限られた鑑賞位置に「写真を撮る人」が集中します。その混雑を処理するためスタッフが観客を次々に移動させれば、今度は「名画を10秒しか正面から見られない」という不満につながります。

美術館側としては、一人に長時間独占させれば後ろの数百人がさらに待たされるので、運営上やむを得ない面もありますが、それなら入場者数を抽選でもっと絞るべきだったでしょう。撮影も禁止すべきでした。

今回のフェルメール展が示したのは、人気展覧会が「名画を鑑賞する場所」から、希少なコンテンツを大量の人に高速で体験させるテーマパーク型イベントへ変わりつつあるという現実なのかもしれません。

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