黒坂岳央です。
SNSでは「コンビニで現金払いは迷惑なのでやめろ。支払いに時間がかかるし、ポイントなどもつかないので本人にもメリットがない。みんなに迷惑」と言われる。そうした記事もよく見る。だが本当だろうか。
確かに、行列に並ぶ客の立場になればそう感じることもある。しかし、実は全員にデメリットとも限らないのだ。

hisa nishiya/iStock
現金払いを嫌うのはバイトとお客さん
「現金払いは迷惑だ」という話を考えるとき、そのように感じているのはレジで働くアルバイトとお客さんである。
現金払いなら、客から現金を受け取り、金額を確認し、釣銭を渡さなければならない。キャッシュレスなら端末を操作して決済が終わりだ。だから、働く側からすれば、楽で速いキャッシュレスのほうがありがたい。アルバイトが店舗の利益なんて考えることはないので、自分の仕事が楽になるのが一番いいと考える。
そしてもう一人は、お客さんだ。後ろに長い行列ができているとき、前の客が財布を取り出して、小銭を一枚ずつ探している。これは単純に待ち時間が増える。だから、客からすれば現金払いは嫌われやすい。
あちこちの記事で書かれている「コンビニで現金なんて使うな」というのは、店員さん、もしくはお客さんのどちらかだ。
店にとって現金払いはありがたい客
だが、現金払いをやめてほしいと思っていない人もいる。それは店舗経営者だ。彼らにとって決済手数料がかからない現金払いは大変ありがたい決済方法なのである。
クレジットカードやQRコード決済などでは、店舗側が決済事業者に手数料を支払う。一回の買い物では小さく見えるかもしれないが、年間売上が何億円、何十億円、何百億円となれば話はまったく違う。
もちろん現金にも管理コストはあるが、キャッシュレス決済手数料という「売上に応じて100%発生するコスト」に比べれば小さい。
つまり「現金払いは店員にとって面倒」という話と、「現金払いは店にとって損」という話は、分けて考える必要がある。店員にとって面倒でも、経営者にとっては利益を残してくれる客ということがある。
「現金払いのみの店」はある
そして実際、これを前提にした店舗の棲み分けも起きている。本当に現金払いが100%悪だというなら、現金払いしかできない店は存在し得ない。その代表が、トライアルやドラッグストアのコスモスだ。
トライアルでは、現金に加えて専用アプリによる決済が利用できる。専用アプリでは銀行口座から直接チャージして支払う仕組みがあり、クレジットカードなどの一般的なキャッシュレス決済とは異なる。自分はこれを使っている。そしてコスモスはさらに徹底しており、基本的に現金払いしかない。
なぜ、わざわざ現金払いのみなのか?それは商品を安く売るためだ。コスモス薬品は、特売やポイントカードによる販促を抑え、店舗運営にかかるコストを削減し、それを低価格につなげる「毎日安い」戦略を取っている。現金払いもその考え方の一部である。実際、コスモスは明確に他のドラッグストアより安い。
便利な決済手段を増やせば、それだけ店舗側にはコストが発生する。だったら、そのコストを削って商品価格を下げる。単純な話だ。
筆者自身、普段は財布をまったく持ち歩かず、ポイントも溜まるので出来る限りスマホ決済をしている。だが毎日の地元の買い物となると、数あるスーパーの中でもトライアルが突出して安く、商品の種類も多い。現金を持ち歩かない自分も、スーパーやドラッグストアはトライアルとコスモスを使う。このように筆者の行動を変えてしまうほど「安い」「品揃えが多い」というメリットは強いのだ。
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もちろん、すべての店が現金払いだけになればいい、とは思わない。特に出張や旅先では財布を持ち歩かなくて済むメリットは大きい。
筆者は東京へ仕事に行くときは財布は持参しないで、すべてスマホとクレカだけで対応する。店での金額が割高でも構わない。財布という管理が必要かつ重いアイテムを1つ減らすためなら安いものである。
便利で早いが、その分コストがかかる店と現金払いだが安い店を使い分けるのが合理的で「もう時代遅れだから現金払いはやめろ」と十把一絡げにしてしまうのは考えものである。
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「Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)







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