ドイツ空港の爆弾搭載無人機はロシアの関与

ドイツ東部ライプツィヒ・ハレ空港で先月5日未明、空港職員が正体不明の爆弾搭載ドローン(UAV)を発見した事件について、メルツ独首相は1日、ロシアの関与を初めて名指しに言及し、対ロシアに対して制裁を実施する意向を明らかにした。

ドイツはこれまで今回の事件の特徴は「ハイブリッド戦」にあると受け取り、「我々はこの問題を極めて深刻に受け止めている」と警戒を強めていたが、誰の犯行かにはこれまで沈黙してきた。

ドブリント内相は先月5日午後、ライプツィヒ・ハレ空港内でザクセン州内相とともに共同記者会見に臨み、「今回のドローン騒動はこれまでも偵察目的や威嚇目的とみられるものではない。今回の事案は新たなレベルの危険を意味する」と指摘、使用された技術や状況から「素人によるものではない。プロレベルのハイブリッドな脅威のシナリオにわれわれは直面している」とし、外国勢力が関与している可能性を強く示唆したが、ロシアの関与には言及しなかった。

無人機対策で防衛強化に乗り出すドイツ、ドイツ政府公式サイトから、写真はドイツ通信(DPA)

連邦政府は「具体的な証拠が欠けていた。連邦政府は憶測に基づく対応は行わない。重要なのは、すべての捜査結果を精査した上で、連邦政府が独自の判断に基づき公式に責任の所在を認定することだ」と述べてきた。ドイツ政府は今回、ライプツィヒ空港で発生した爆発物を搭載したドローンによる攻撃未遂事件の背後にロシアがいると判明したわけだ。

8月4日の夕方、ライプツィヒ空港で爆発物を積んだドローンが発見された。現場の近くには、ウクライナの貨物機が数機駐機していた。ライプツィヒ空港は、対ロシア防衛戦を戦うウクライナへの軍事支援物資の輸送拠点だ。報道によると、ライプツィヒには複数のドローンが投入されていたことが明らかになった。米メディアは事件発覚直後、「背後にはロシアの関与がある。具体的には、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)だ」と断言している。駐独ウクライナ大使のオレクシー・マケイエフ氏は、独メディアに対し「ロシア以外に誰がいるというのか?」と述べていた。

メルツ氏は先月27日、RTLのインタビューに対し、政府がまもなく今回の事件の実行犯を特定するだろうと述べ、「我々はそれ相応の対応をとらなければならない」と強調していた。ただし、政府がどのような対応を検討しているかについては言及しなかった。

なお、ヴァーデフール外相は「ドイツ側としては過剰な反応をする必要はないが、必要な対応をとることには躊躇しない」と述べている。具体的には、駐独のロシア外交官の国外追放や駐独のロシア大使を外務省に呼び出して抗議の意思表明を伝達することなどが考えられるという。

一方、クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は、EUとの関係改善の見込みはないとの認識を示し、「欧州側がロシアを敵対者、さらには敵とみなしている」と指摘。さらに「現在のEUの政治家たちはロシアに対して言葉だけでなく行動においても対決的な姿勢をとっている」と付け加えた。

参考までに、2026年上半期、ドイツの空港におけるドローンの目撃件数が大幅に増加した。ドイツ航空管制(DFS)の統計によると、同期間中に国内の国際民間空港15カ所で、こうした飛行物体が計166件報告された。2025年上半期の報告件数は101件だった。今年、最も多くの事案が発生したのは、ベルリンの首都空港であるBER(28件)と、ドイツ最大の空港であるフランクフルト・アム・マイン空港(27件)だ。また、ライプツィヒ・ハレ空港では18件の無許可飛行が目撃された。

いずれにしても、メルツ独政権は事件発生からほぼ1か月が経過した1日、爆弾搭載無人機の独空港侵入事件の犯人を名指しで批判したわけだ。ドイツの対応が余りにも慎重すぎるというべきか、冷戦な対応と評価すべきかは、立場によって異なってくるだろう。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年9月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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