東京大学大学院教育学研究科の本田由紀教授のXでの発信が、相次いで大きな批判を呼んでいる。
本田教授は8月30日にも、英紙ザ・テレグラフの記事をXで共有していた。見出しは「Japan’s eccentric PM may love cockroaches but she’s starting to be seen as a pest」。高市早苗首相のゴキブリエピソードに絡め、「pest(害虫、厄介者)」と皮肉ったものだった。
日本の風変わりな首相はゴキブリが大好きかもしれないが、最近は害虫として見られ始めている
「英紙の記事を共有しただけ」なのか
この英文を書いたのは本田教授ではなく、テレグラフである。「記事を共有しただけだ」と擁護する声があるのも事実だ。
しかし本田教授は、この見出しを批判するコメントを添えたわけではない。強烈な表現をそのままXで紹介したことで、ネットでは「東大教授の品性を疑う」といった批判が相次ぎ、大学教授や日本教育学会会長としての適性を疑問視する声、解任を求める意見まで出ている。
問題は英語で投稿したこと自体ではない。何を選び、どのような文脈で拡散するかもSNS上の表現行為だからだ。
その直後には皇族を「遺伝的要因」で論評
さらに本田教授は9月1日、皇族について「この人たちを目にするたびに、遺伝的要因のおそろしさを感じる。露出の増加が逆効果になるかもしれない」と冒頭の投稿をした。
皇室制度や皇族の言動を批判することは自由である。しかし人物への否定的評価を「遺伝」や「血筋」と結びつけるのは別問題だ。
高市首相を「害虫」になぞらえる海外記事を共有した直後に、皇族について「遺伝的要因」を持ち出したことで、本田教授の表現姿勢そのものが問われることになった。
日本教育学会会員から公開質問状
皇族をめぐる発言については、日本教育学会会員の蒲生諒太氏が公開質問状を出した。宛先は日本教育学会の法人理事会と倫理委員会で、本田教授が同学会会長という立場にあることを踏まえ、学会としての見解を問いかけている。
【参照リンク】本田由紀氏「遺伝的要因のおそろしさ」投稿に関する声明
蒲生氏は同時に、本田教授への嫌がらせや脅迫などの集団的攻撃には反対している。問われるべきなのは個人への攻撃ではなく、発言の倫理性と公的立場との整合性だろう。
日本最大級の教育学会トップという立場
本田教授は東京大学教授であるだけでなく、日本教育学会会長でもある。同学会は国内最大規模の教育学系学会だ。

本田由紀教授 日本共産党HPより
教育界では差別や偏見、ジェンダー、ルッキズム、人権への配慮が繰り返し求められている。その代表的な立場にある研究者が、政治的に対立する相手については「害虫」という表現の記事を拡散し、皇族には「遺伝」を持ち出すのであれば、厳しい視線を向けられるのは当然だ。
「嫌いな相手」だけ反差別の対象外なのか
高市政権を批判することも、皇室制度を批判することも自由である。しかし「差別はいけない」「人を属性で判断してはいけない」という原則を掲げるなら、それは自分の嫌いな相手にも適用されなければならない。
保守系の大学教授が女性政治家を「害虫」になぞらえたり、特定の人物について「遺伝的要因のおそろしさ」と発言したりすれば、教育界はどう反応するだろうか。
相手によって差別の基準を変えるのであれば、それは反差別とは呼べない。
今回の一連の発信が浮き彫りにしたのは、本田教授個人の言葉遣い以上に、「政治的に気に入らない相手なら何を言っても許される」というリベラル言論のダブルスタンダードではないだろうか。












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